昔の日本では、命名式を執り行い、村の有力者や、自分の恩人に当たるような人に子供の名付け親になってもらうことがが多かったようですが、最近は、そのような習慣はすっかり廃れてしまいました。
でも、ネパールでは、今でも名付けの儀式をするのが一般的。

ヒンズー教徒の場合は、赤ちゃんが生まれてから11日目に、ヒンズー教の司祭を呼び、ナランと呼ばれる名付けの儀式を行います。
このとき、赤ちゃんは二つの名前を授けられます。

一つは、赤ちゃんの耳元でのみ囁かれる両親にも明かされない名前。
これは、神様がこの子を呼ぶ時にのみ使う名前なのだそうです。
もう一つは、赤ちゃんの生まれた日の星座からつけられる、儀式や占いに必ず必要になる名前で、これは、ちゃんと両親に伝えられます。

ヒンズー教の司祭は、占星術師でもあるわけですが、ネパールの占星術は西洋の占星術とはちょっと違います。
西洋の星座は年間を12ヶ月にわけ、1ヶ月ごとにかわります。
ネパールの占星術でも、星座が12種類あるところは同じです。
でも、同じ月でも、生まれた日が違えば違う星座だったり、同じ日でさえ、生まれた時間が違えば、違う星座になることもあります。
そして、子供の名前は、星座ごとに名前の最初の音が決まっています。
それゆえ、占星術師を呼んでわざわざ自分の子供の星座を確認する必要があるのです。

ヒンズー教には、人生の通過儀礼がたくさんにありますが、それらの儀式を行う時には、このナランの時につけられた名前が必要になってきます。
ただし、この、ナランでつけられた名前は、呪いをかける時にも使われるものらしく、呪いを信じるネパールでは、ナラン名は普段公にしないで、日常生活では、別の名前を使っている人も多いようです。


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