ネパールでは、夏の終わり、秋が始まろうという頃、ティージという女性だけが祝うお祭りがあります。
この日、カレンダーは黒字で国民の祝日ではありません。
でも、赤い字で『女性のみ祝日』と書かれていて、公的に認められた女性だけの休日となります。
だから、政府の役所に行っても、役所は開いていて業務は行われているけれども、男性職員しかいないということになります。

女性の先生が多い学校では、女性の先生が来ないと半分以上の授業が欠講となるので、この際、全校休講だと、学校自体が休みになってしまいます。
いっそのこと、もうネパール全体を休みにしてしまえばと思うのですが、そうでなくてもお祭りの多いネパール、実際問題、これ以上祝日が増えても困ります。

さて、このティージというお祭り、なぜ女性だけが祝うのかというと、ある神話が背景にあります。
シヴァ神の亡くなった奥さんの生まれ変わりであった、パルバティは、シヴァ神と今世も結婚することを願って、川のほとりで断食して、祈願の瞑想に耽りました。
その結果、見事、シヴァ神と結婚することができたそうで、パルバティのように、いい結婚ができますようにという願いを込めてティージを祝うようになったらしいのです。

現在では、女性たちは、ティージの前日の夜中までこれでもかというほどご馳走を食べ、ティージ本番の日は断食します。
朝、お清めの水浴びをしたら、シヴァ神の寺院にお供えをしに行き、その日は1日飲まず食わずのまま、未婚女性はいい結婚ができることを願いながら、既婚女性はご主人の健康と成功を願いながら、歌って踊って過ごします。
この日、ネパール各地のシヴァ神の祀られた寺院は赤いサリーに身を包んだ女性であふれています。
いい結婚とか、旦那の幸福とかいうけれど、それはきっと後付けの言い訳で、普段、我慢を強いられる嫁が、堂々と弾けて、ストレスを発散できる場になっているのだろうなあと思います。


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