教師たちの間では、事故発生時に刑事責任を問われることへの不安が広がっている。2022年11月、北東部のカンウォンド(江原道)チュンチョン(春川)市の小学校の6年生がソクチョ(束草)市のテーマパークを訪れた際、児童1人が貸し切りバスにはねられ死亡した。当時、担任教諭は業務上過失致死の罪で起訴され、一審、二審とも有罪判決を受けた。この判決は教育現場に衝撃を与えた。
韓国紙の中央日報は先月30日掲載の社説で、「この事故以降、各校で遠足や修学旅行を避ける現象が統計の数値にも表れている」とし、ソウル市内の小学校のうち、昨年、日帰り体験学習を実施した学校は、2023年から半減したと指摘した。小学校は中学校、高校に比べて特に減少が大きく、これについて社説は「中学や高校の日帰り学習は生徒が集合場所まで各自で移動して教員と合流するのが一般的だが、小学校は学校を出発してから戻って解散するまで教員が引率するため責任範囲が重くなる」と解説した。
冒頭の全国教職員労働組合による調査でも、体験学習を避けたい理由として「事故発生時に教師が刑事責任を負う可能性への不安」は89.6%に上り、最も高かった。実際に民事・刑事責任を経験したとする回答は0.5%にとどまったが、「見聞きしたことがある」は31.2%に上った。
前出の中央日報の社説は「教員団体が求めている最優先課題は、教師が安心して体験学習を進行できるよう法的な保護を提供することだ」とした。教師たちからは、教育活動中に事故が発生して法的紛争が起きた場合、教師の代わりに国家が訴訟を担う「国家訴訟責任制」の導入を求める声が上がっている。教育部(部は省に相当)が今月7日に開いた「安全な現場体験学習のための教育共同体懇談会」で、韓国教員団体総連合会のチョ・ジェボム権益委員長は「国家訴訟責任制を導入し、教師たちが訴訟で苦しむことのないようにすべきだ。こうした基本的な議論がなされた後に、現場体験学習を論じるべきだ」と訴えた。
教育部は「国家訴訟責任制」を求める教師たちの声を把握しているとした上で、「やむを得ず訴訟対象となった場合にも、先生方が法的対応に負担を感じないよう、最大限支援する」とした。
今月15日、韓国は「先生の日」を迎えた。韓国では学校で教えを受けている先生や、かつての恩師を敬い、感謝する日として1964年から毎年5月15日を「先生の日」として定めている。「5月15日」としているのはハングル創成などの功績を残したことで韓国国民が今も尊敬し、師として崇めるセジョン(世宗)大王の生誕日にちなむ。
教え子や保護者をはじめ、国民から祝福されることは、本来、教員にとって自身の職業に誇りを感じられることでありそうだが、必ずしもそうではないようだ。教師たちは前述した訴訟への不安のみならず、最近は保護者らからの度を越した苦情などに悩まされているとされ、教師が正当な教育活動を行う権利「教権」が侵害されていると指摘されている。
教師労働組合連盟が「教師の日」を前に全国の幼稚園、小中高校の教諭7180人を対象に行った調査では、「教師の教育的価値と献身が社会に尊重されていると思うか」との質問に「そう思う」と答えたのはわずか5.6%だった。また、「教職生活にやりがいや誇りを感じる」との回答も34.4%にとどまった。
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