ブルゴーニュ北部、ヨンヌ県にある町トネール(Tonnerre)。
人口4千人余りのこの町は、人口減少や高齢化という課題に取り組んでいる町の1つです。
そんな町をサン・ピエール教会は丘の上から静かに見守り続けています。

 サン・ピエール教会は11世紀に初代の建物が建てられました。
ですが1556年、火事で全焼の憂き目に遭います。
再建が始まったのは16世紀末から17世紀前半ですので、建築様式はその当時のクラシックなスタイルにイタリアルネッサンスが混ざっています。




 教会から望む、緑に囲まれ年月を経た赤茶色の屋根の間にところどころに現代の色が混じる町並みは、歴史と現代のモザイクを描いているようです。

 さて鳥の声を聞きながら坂を登り教会に辿りつくと、入口のドアが解放されているのが見えます。
中に入るとかつて壮麗だったであろうこの建物が今、整備・改修を必要としていることは素人目にも分かります。

そして入口の椅子には小さなボードが。
サン・ピエール教会の改修工事を願う人々が集まったアソシエーションが、公共からの補助金を補う寄付を募るアナウンスです。
目標金額達成にはまだ時間がかかりそうな様子ですが、教会の後ろに目を向ければ、のどかなぶどう畑が、鮮やかで力強い緑の葉を輝かせています。
 フランスの地方の歴史の小さな証人がこれからも町を見守り続けていってほしいものです。


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