シャンドルール(Chandeleur)といえば、(日々食べているとはいえ改めて)クレープを食べる日、と聞いたことがある方も多いでしょう。
元は他宗教の行事だったようですが、クリスマスから40日目に祝うというキリスト教の伝統行事として定着している日です。

 ですがこの日、マルセイユの人々はクレープよりも「ナヴェット」を食べているようです。
ナヴェットは一般的にはシャトル便といった意味ですが、南仏の特産のお菓子の名前でもあります。
 きめの細かい生地を練ってできたソフトでなめらかなこのビスケットは、口にするとオレンジフラワーウォーターの香りがほんのり漂ってきます。
フランスのお菓子といえばしっかりと甘いものが多いのですが、それに比べてこちらはかなり甘さ控えめ。
たくさん食べられてしまいそうです。




 お土産用に手に入るものは10数センチ程度の長さですが、こちらのナヴェットはその2倍余りの大きさ。
作っているのはマルセイユでも1番の歴史があり、このナヴェットを考案したとされている「Four Des Navettes」のもの。
1781年に開業以来代々続いているお店で、開業時のオーブンが今なお現役で使われているといいますから、店ごとマルセイユの歴史の証人といえる貴重な存在でしょう。

 「ナヴエット」の名前の由来にはいくつか説があるようですが、聖母マリアをプロヴァンスに運んだ舟から来た、という説は、創業者が「舟の形から名前を思いついた」という話と良く一致しているようです。
 「Four Des Navettes」の大型なナヴェット、直接かじりついていただくと口いっぱいに美味しさが広がりますが、噛むと同時に大小のかけらが落ちやすいので、紙でもしいた上でいただくと良いでしょう。


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