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いながきの駄菓子屋探訪43山梨県笛吹市「長瀬商店」温泉地にあるノスタルジックな雰囲気の店

小学校のフェンスが近道

熱海や箱根湯本のように、都心からアクセスしやすい温泉地としてよくその名が挙がる、山梨県笛吹市の石和温泉。宿泊を伴わなくても足湯や公衆浴場で楽しめる甲府市の隣町ですが、ここでも駄菓子屋を見つけることができたので、早速訪ねてみました。

石和温泉駅から南へまっすぐ1kmほど。石和南小学校の東側を通る道路沿いに「長瀬商店」がありました。ガチャガチャ、アイスのケース、自動販売機が店先に並び、平屋で看板のないその佇まいは、昔ながらの駄菓子屋のイメージそのもの。この日は春休みで、校庭で遊ぶ子どもたちの声が響き、店内もにぎわっていました。

訪ねてまず気になったのが、小学校とお店を隔てるフェンスが一部だけやたらと劣化していること。上の部分は凹んでいるし、下は穴があいたり錆びたりしています。小学校のそばにある駄菓子屋は門の近くにあることが多いのですが、こちらは門を使うとかなり迂回することになる場所にあるので、「みんなここでショートカットしてるな?」と直感。すると、買い物を済ませた子ども数人が実際にフェンスに足をかけて乗り越え、校庭に入っていきました(笑)。道なき道を開拓していく子どもたちにとっては、ここが正式な駄菓子屋へのルートのようです。

店内は土間状で、外観の雰囲気よりも奥行きがあり、たくさんの駄菓子が平置きで陳列されていました。奥の小上がりに座る店主がそろばんで会計してくれる仕組みで、そこもまたノスタルジック。駄菓子のラインナップは関東とほぼ同じですが、山梨県ということもあってか、カットよっちゃん等の珍味系駄菓子が充実している印象でした(山梨はイカ加工品で有名な駄菓子メーカー、よっちゃん食品工業のお膝元です)。

「この商売を続けてるのはボケ防止かな」

応対してくださった店主の長瀬さんによると、長瀬商店は昭和35年(1960年)ごろ、文房具店として長瀬さんの義理のお父さんが創業。嫁いできた長瀬さんと2人で運営するようになると、ほどなくして駄菓子屋との兼業になったとのこと。昭和55年(1980年)ごろから、量販店の登場もあって徐々に文房具の扱いが減り、駄菓子を中心とする現在の形になったそうです。

「この商売を続けてるのは、まあ、儲けようというわけじゃなくて、ボケ防止かな(笑)。お店を開けていれば、子どもたちが買い物に来て計算もするし、近所の人が来て話もできる。なんにもしないというのが一番良くないからね。建物も古いし、駄菓子屋を継ぎたいなんていう身内ももちろんいないから私の代限り。続けられるうちは続けますよ。それにしても、駄菓子も昔に比べると高くなったよね。特にイカ関係なんて倍くらいになったんじゃないかな。時代も物価も変わっていくね」

カップ焼きそばの湯切りが甘いと、その場で床に向かってチャチャッと切って仕上げてくれる店主。思わず「そこでいいの!?」と突っ込みそうになりました(笑)。売りものに値段の表示が一切なかったり、例のフェンスのことだったり、独自発展したポイントが多くて興味深い長瀬商店。おおらかな空気感が居心地の良さを生む、温泉の湧く町にある駄菓子屋でした。

長瀬商店

住所:山梨県笛吹市石和町市部756-2

電話番号:055-262-2074

営業時間:月~金14:00~18:00、土日10:00~18:00

定休日:不定休

[All photos by Atsushi Miyanaga]




2021/05/01 05:05  Copyright (C) 2019 TABIZINE All Rights Reserved.

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