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混乱はないが昔とは違う香港

昨今、台湾の問題はニュースでよく耳にする。米中対立がこれまでになく激化し、台湾有事を巡って緊張が高まっているので当然のことではある。一方、香港の今に関する報道はほとんどされなくなった。

現地の専門家から得た情報によると、今日の香港はいつものように治安が良く、大きな混乱も見られないという。そういう情報を聞くと、新型コロナウイルスが落ち着いたら香港へ旅行したいと思う読者もいることだろう。しかし、今あるのは昔の香港ではない。香港の象徴だった自由や平等といった価値観は薄れ、近年、「香港の北京化」がいっそう進んでいるのだ。

民主活動家や議員が逮捕される事例が増加

民主活動家たちが中国軍によって鎮圧を受け多数の犠牲者が出た天安門事件から2022年6月4日で33年を迎えたが、同日、香港中心部にあるビクトリアパークで、その追悼集会を開いていた男性5人と女性1人が香港警察に逮捕された。

香港では2020年7月に施行された国家安全維持法に基づき、民主的な議員や活動家などが容赦ない取り締まりで治安当局に逮捕される事例が増加している。習政権は天安門事件を歴史の中から抹消しようとしており、6月4日前後には香港全土で監視やパトロールが強化されるようになっている。以前のように自由ある香港ではない。

また、香港の北京化は教育面にも及んでいる。国家安全維持法が施行された2020年7月以降、香港の大学では法律科目として国家安全維持法が必修科目になっている。香港大学は2022年9月から、国家安全維持法に関する入門講座が必修になる。香港中文大学、香港科技大学、香港理工大学は2023年度から国家安全維持法講座を開始する予定で、香港教育大学、嶺南大学、香港城市大学などでは既に導入されているという。

香港の自由は破壊され、独裁度数は高まるばかり

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香港の治安は以前と変わらないし、今後、犯罪統計を取っても低い犯罪率を維持するだろう。しかし、冒頭でも述べたように、香港の自由は破壊され、香港の独裁度数は高まるばかりだ。今、香港人が感じているのは、「抵抗しても無駄だ」「習政権の下で生きていくしかない」という絶望感や疲労感、諦めである。2019年には香港の北京化に抵抗する運動や抗議デモが各地で発生し、多くの負傷者を出した。しかし、2022年8月現在、それは完全に影を潜めている、

新型コロナが落ち着きを見せれば、香港へ渡航する日本人は増えることだろう。しかし、以前は自由に使えたLINEやフェイスブックなどが、どれほど自由に使えるのだろうか。仮に自由に使えたとしても、中国当局は通信傍受している可能性もある。今後の香港渡航は、コロナ前とはかなり違ったものになるであろう。

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