高市氏は、石破茂前首相の退陣を受けて開かれた首相指名選挙で、衆議院は237票、参議院では決選投票で125票を獲得し、第104代首相に指名された。日本で女性の首相が誕生するのは憲政史上初めて。この日夜、皇居での首相任命式を終えた高市氏は、首相として初の記者会見に臨み、「強い日本をつくるため、絶対に諦めない」と決意を示した。
高市氏が首相に選出されたことを受け、韓国メディアもすぐさま速報した。韓国で、高市氏は歴史問題や領土問題について「保守強硬派」として知られている。これまで、8月15日の終戦の日に、第2次世界大戦のA級戦犯が合祀された靖国神社への参拝を続けており、首相就任後も参拝すれば、日韓関係への影響は避けられないと懸念されている。
高市氏が首相に選出されたことを伝えた、韓国の公共放送、KBSは、「高市政権の発足により、これまで比較的穏健な歴史認識を示してきた石破茂内閣で維持されてきた韓日関係の流れに変化が生じるか注目されている」と伝えた。通信社の聯合ニュースは、高市氏について「非世襲の女性政治家として『ガラスの天井』を破り、地位を固めてきた」と紹介した上で、「強硬保守性向で知られる高市氏は靖国神社に参拝し、歴史・領土問題で韓国の立場と反する発言を繰り返してきた」とし、「今後の韓日関係に大きな変化が起こり得るとの見通しも出ている」と伝えた。また、「これまで自民党の右傾化の流れにブレーキをかけてきた中道保守性向の公明党が連立から抜け、右翼政党である日本維新の会が連立パートナーになったという点は、憂慮すべき状況変化だ」と指摘した。一方、朝鮮日報は「首相としての高市氏はこれまでとは異なるかもしれない」と対応の変化に期待を寄せた。
21日夜に開かれた、高市氏の首相として初の会見では、韓国の大手紙、朝鮮日報の記者から「高市首相の就任で日韓関係が悪化するのではないか」との質問があった。これに対し、高市氏は「日韓関係の重要性は今、一層増していると考えている。これまでの政権の間で築かれてきた基盤に基づきながら、日韓関係を未来志向で安定的に発展させたい」と述べた。また、「ご懸念があるようだが、韓国ノリは大好き。韓国コスメも使っている。韓国ドラマも見ている」とも語り、笑顔で親近感をアピールもした。今月下旬からは、韓国・南東部のキョンジュ(慶州)でアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれる。高市氏は「(イ・ジェミョン)大統領とお目にかかれるチャンスがつくれることをとても楽しみにしている」と述べ、今後の外交日程に合わせた首脳会談の開催に意欲を見せた。
高市氏の首相選出を受けて、韓国大統領室のカン・ユジョン報道官は21日の記者会見で「進展した韓日関係の基盤を維持しながら交流を続けるというのが韓国政府の立場だ」と述べた。また、外交部(外務省に相当)のイ・ジェワン報道官は同日の定例会見で「韓日は激変する地政学的環境と貿易秩序の中で類似した立場の隣国であり、グローバル協力パートナーだ」とし、「これからも未来志向的な関係発展のために両国が共に努力することを期待する」と述べた。
また、李大統領も同日、SNSを通じて祝意を示した。李氏は「韓国と日本は庭を共有する隣人で、政治、安全保障、経済、社会文化や人的交流などさまざまな分野で協力関係を発展させてきた」とした上で、今年、日韓国交正常化60周年を迎えたことを踏まえ、「新たな韓日関係の60年を開いていかなければならない重要な転換点に立っている」と投稿した。また、「かつてないほど国際情勢の不確実性が高まる中、韓日関係の重要性も一段と増している」と強調した上で、「このような重要な時期に、総理と共に、両国間、そして両国国民の間で、未来志向の共生の協力を一層強化していくことを期待している」とつづった。
KBSは今後の日韓関係について「焦点は、両国の首脳が相互に訪問して直接会談を行う『シャトル外交』を継続することにある」と指摘する専門家の見解を伝えた。その上で、今月末から開かれるAPEC首脳会議で日韓首脳会談が実現した場合、「その結果が、両国関係の今後を占う重要な分岐点になる見通しだ」と伝えた。
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