修能は毎年11月に行われる。この日ばかりはあらゆる面で受験生が優先される。官公庁や一部企業は出勤時間を遅らせ、ソウルの公共交通機関は地下鉄やバスを増便する対応を取る。また、各地の空港では、リスニングの試験中、航空機の離発着が禁止される。
ことしの受験者数は55万4174人で、昨年より約3万1500人増えた。試験実施を前に、10日から、試験で使われる問題用紙と回答用紙の配送が始まった。公共放送KBSによると、これら用紙は警察車両の警護を受けながら全国85の試験地区に運ばれ、前日まで各地区の保管所で厳重に管理された後、当日の朝、試験会場へ送られるという。
韓国でも日本同様、この時期には、受験生向けの商品の販売や、イベントが行われる。韓国メディアの毎日経済によると、コンビニでは関連商品の売り上げが伸びているといい、GSリテールが運営するコンビニGS25が、今月1~7日までの1週間の売り上げデータを分析した結果、筆記用具の売り上げは2週間前(10月18~24日)に比べ、38.2%増加したという。そのほか、「ぴったりくっつく(合格する)ように」との激励の意味を込めた大福餅(22.7%)や、コンディション管理のためのホットパック(53.8%)、漢方飲料(20.7%)なども大幅な伸び率を記録した。
また、韓国では、試験終了後、受験票を持参すると割引が受けられる「受験生割引」が各所で展開される。中でも、「美容整形大国」の韓国とあって、美容整形外科クリニックが展開している割引企画が受験生に人気で、「修能整形」との言葉もあるほどだ。韓国メディアのイーデイリーによると、ソウル市カンナム(江南)区のある美容外科クリニックのスタッフは、同メディアの取材に「数年前までは、大学修学能力試験が終わった後に、相談の問い合わせが本格的に始まっていたが、最近は9~10月から相談の問い合わせが急増している」と話した。同メディアが同区内の美容外科10カ所に問い合わせたところ、6カ所が週末は年末まで予約がいっぱいだと答えたという。来院するのは以前は女子が多かったが、最近は男子も大幅に増えているという。
一方、同メディアは「専門家らは、美容整形や施術を決める前には、慎重な検討が必要だと助言している」とした上で、「美容整形プラットフォームやオンラインコミュニティーなどでは価格を前面に出した広告が多く、SNSを通じた『整形レビュー』も溢れているため、心理的なハードルが低くなっているが、美容整形手術は一度決めてしまうと元に戻せないケースが多く、再手術にはより多くの努力と費用がかかる可能性があるからだ」と注意を促した。
「受験生割引」を前面に出したプロモーション自体は最近、全体的に下火になってきているようだ。かつては受験票が「万能割引クーポン」と呼ばれたが、韓国の通信社ニュース1は、昨年11月に配信した記事で、「景気低迷やオンラインショッピングの普及で消費動向が変化し、受験生客が激減。一方で外国人観光客が主要顧客となり、受験票の価値も過去のものになりつつある」と伝えた。ソウルで長年靴店を営む男性は当時、ニュース1の取材に「修能が終わっても受験生客は一人も来なかった」と語った。ソウル近郊のソンナム(城南)市でカフェを営業する店主は「昨年(2023年)は受験生向けに手作りチョコレートをプレゼントするイベントを開催したが、ことし(2024年)はカカオの価格がほぼ2倍に高騰し、余裕がなくイベントも実施できなかった」と話した。
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