金建希氏や、尹氏に近い国会議員らに金品を提供したとして、政治資金法違反の罪などに問われた旧統一教会の元幹部、ユン・ヨンホ被告は今年8月、特別検察官の調べに対し、「ムン・ジェイン(文在寅)政権(2017年5月~22年5月)時代に、民主党の2人の重鎮議員にそれぞれ数千万ウォン(1000万ウォンは約110万円)の金品を渡した」との趣旨の話をしていたことが分かった。また、ユン・ヨンホ被告は今月5日に開かれた公判でも「2022年に『国民の力』だけでなく、『共に民主党』とも接触した」と述べた。
ユン・ヨンホ被告の説明が明らかになるや、野党「国民の力」所属の議員たちは、特別検察官チームが同党に対してのみ捜査を行ったとして「偏向的なでっちあげ捜査だった」「民主党の議員たちは金を受け取ってもよい特権層なのか。特別検察は権力の味に酔いしれた末に、思い上がっている」「野党に対しては昼夜を問わず家宅捜索を行っていた特別検察が、民主党に対しては捜査の意志さえ見せない」などと特別検察官チームを批判した。
こうした中、韓国メディアによると、特別検察官チームは9日、旧統一教会が「共に民主党」の所属議員に金を渡していたとの疑惑の捜査を警察庁国家捜査本部に移管したと発表した。翌10日、同本部は、この疑惑の専門捜査チームを立ち上げ、捜査に着手したと発表した。これを伝えた通信社の聯合ニュースは「政治資金法違反の公訴時効は7年で、2018年に金品を受け取った事件は今年末に時効を迎える」と指摘。「特別検察官チームが与党関係者に対して捜査を行わなかったとする非難が起きていることから、これを意識した警察が迅速な対応を取ったものとみられる」と伝えた。
前述のように、ユン・ヨンホ被告が「民主党の2人の重鎮議員にそれぞれ数千万ウォンの金品を渡した」との説明をした中、その重鎮議員の1人はチョン・ヨンス海洋水産部(部は省に相当)長官であることが報じられた。これを受け、チョン長官は11日、「疑惑は事実無根だ」と否定した一方、「(政府が)動揺せず仕事ができるよう、私が海洋水産部長官の職を辞することが穏当ではないかと考える」として辞意を表明した。このタイミングで辞任するのは疑惑を認めていると受け取られるのではとの記者団の指摘に、チョン氏は「全くそうではない。長官職にいながら様々なこと(疑惑)を明らかにしなければならないとしたら、海洋水産部に迷惑がかかる。さらに責任を持って堂々と対処するという私の意志の表れだ」とした。李大統領は同日、これを受け入れる方針を決めた。
これに先立ち、韓国紙のハンギョレは10日掲載の社説で「捜査機関は聖域をつくることなく旧統一教会と政界の違法な癒着疑惑を捜査し、実態を明らかにすべきだ」と主張した。教団が「共に民主党」の政治家に現金を渡していたとされる疑惑については、前述のように、特別検察官チームから捜査の移管を受けた警察庁国家捜査本部が、今後、調べを進めるものとみられる。
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