両首脳の会談は、昨年10月に韓国南東部のキョンジュ(慶州)で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の際に行われて以来、2回目。対面の接触としては3回目で、ハイペースで対話を重ねているといえる。今回、会談が行われた奈良市は高市氏の地元で、同市は、両首脳が初会談した慶州の姉妹都市だ。
会談は、はじめに同席者を限定して少人数会合が開かれ、これに続き、約1時間にわたって全体会合が行われた。全体会合の冒頭、高市氏は「李大統領を私のふるさとの奈良にお迎えすることができ、歓迎したい。李大統領と共に、日韓関係を前に進めながら両国が地域の安定に連携して役割を果たしていくべきという考えを新たにした。今般の大統領の訪問を皮切りに、日韓関係をさらなる高みに発展させる年としていきたい」と述べた。これに対し、李氏は「奈良は古代、朝鮮半島と日本との交流の中心地だったと思う」などとした上で、「高市首相と私がしっかりと手を携えて、両国の国民が力を合わせることができれば、両国は新たな未来に向けて歩んでいくことができる」と述べた。
両首脳は、未来志向の日韓関係を目指すことや、中国をにらみ、経済安全保障分野で協力することなどで一致した。また、太平洋戦時中の水没事故で、朝鮮半島出身者を含む183人が犠牲となった山口県宇部市の長生炭鉱をめぐり、海底で発見された遺骨のDNA型鑑定に向けて協力を進めることも確認した。一方、慰安婦問題や元徴用工問題など、両国にまたがる敏感な問題は今回、本格的に取り上げることはなかったとみられている。長生炭鉱をめぐる遺骨のDNA型鑑定は、遺族や遺骨を収容した地元の市民団体が早期に着手するよう、これまで日本政府に求めていた。韓国の通信社、聯合ニュ-スは「両国が鋭く対立する問題の代わりに、両国民が被害を受けた同問題の解決をカードにすることで突破口を開いたことになる」と指摘。「これが別の歴史問題の解決に向けた足場になるとの期待も読み取れる」と解説した。
会談後、両首脳は共同記者会見に臨んだ。高市首相は「私の総理大臣就任後、外国の首脳を奈良に招くのは初めてで、大統領との間の友情と信頼関係を示すものだ。日韓両国と日韓米3カ国の安全保障協力を含む戦略的な連携の重要性について認識することができ、しっかりと議論した。今後も緊密に意思疎通していく」と述べた。李氏は「両国は地域・グローバル課題について幅広く意見を交わし、急変する国際情勢の中で、域内の平和と安定に向けた韓日・韓米日協力の重要性についても認識を共にした」と述べた。また、「韓国と中国、日本の3カ国が最大限共通点を見いだし、意思疎通をしながら協力していく必要があることを強調した」と明らかにした。この発言に、聯合ニュースは「中国と日本の対立が強まる中、3カ国協力を呼び掛けた形となる」と解説した。
この会見後には、学生時代にヘビーメタルバンドのドラマーとして活動したことがある高市氏と、子どもの頃からドラムを演奏するのが夢だったという李氏が即興演奏するサプライズ企画もあった。
今回の日韓会談について、韓国メディアはどう報じたか。韓国紙の東亜日報は14日に掲載の社説で、「これまでの協力が米国の影響下での韓米日連携に重きを置いていたとすれば、今や米国抜きで韓日協力を模索すべき局面でもある」とした。その上で、社説は「両首脳は、経済、社会、文化など幅広い分野での協力強化を約束した。一方で、韓日間の主要懸案ではなお大きな前進が見られない」と指摘。「進展のない足踏みでは不十分だ」とした上で、「大胆な相互譲歩によって一段と前進を図り、両国民の共感の土台をさらに広げていく必要がある」とした。
朝鮮日報は14日の社説で、日中関係が悪化している中で開かれた今回の日韓会談について、「(李氏が)韓中日3カ国の協力の必要性を強調し、対立の仲裁を試みたものと受け止められている。しかし、高市首相は『韓米日の連携と協力』には計4回も言及したが、『韓中日の意思疎通』には一度も言及しなかった」と指摘。「東アジアで中国の脅威をけん制できる国は韓国と日本だけだ。両国間の協力は、同地域の平和と民主主義を守るためにも絶対に必要だ」とした上で、「『シャトル外交』を契機に、両国が東アジアの平和と民主主義を率いるリーダーシップを発揮するよう願っている」と期待を示した。
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