<W解説>ハンストを続ける韓国・最大野党代表、支持は得られるか?
<W解説>ハンストを続ける韓国・最大野党代表、支持は得られるか?
韓国の最大野党「国民の力」のチャン・ドンヒョク代表は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が政治家に金品を提供した疑惑を捜査する特別検察官の設置などを求め、今月15日、ハンガーストライキ(ハンスト)を開始した。韓国では政治的・社会的な欲求を訴える手段として、政治家などがハンストを行うことがある。2023年には現大統領で、当時、最大野党の代表だったイ・ジェミョン(李在明)氏が、日本政府による福島第一原発の処理水の海洋放出などに抗議するためハンストを決行したことがある。今回、チャン氏には、健康悪化を懸念して党内外から中止を求める声が上がっているが、チャン氏は「ここでやめれば大韓民国の未来はない」としている。

韓国では旧統一教会をめぐる政界関係者への金品提供疑惑が浮上。当初、この疑惑は野党の政治家を中心に関与が指摘されていたが、与党「共に民主党」の議員らも複数が疑惑に関与している疑いが浮上した。李在明大統領は先月30日、「与野党を問わず捜査して真相を究明し、責任を問うべきだ」とし、検察と警察による合同捜査本部の設置を指示。今月6日、ソウル南部地検長を本部長とする47人の捜査本部が立ち上がった。

「国民の力」はこの疑惑の捜査にあたり、政府から独立して調べる、特別検察官を導入するよう求めている。党代表のチャン氏は特別検察官の受け入れを求めて、今月15日からハンストを開始した。また、チャン氏は、選挙での公認候補選びに絡み、「共に民主党」の議員に違法献金疑惑が浮上していることから、この疑惑を捜査する特別検察官の設置も求めている。

チャン氏は昨年8月に党代表に就任した。同党は、政権与党だった2024年12月、当時のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が「非常戒厳令」を宣言したことを機に、党の支持率低下が一層進んだ。その後の2025年6月の大統領選で同党候補は敗れ、野党に転落。その後、代表に就任したチャン氏には党の立て直しが迫られることとなった。代表選出時には、「全ての右派市民と連帯し、李在明政権を引きずり下ろす」と語り、政権打倒に意欲を示した。

チャン氏15日、ソウルの国会議事堂前で「私は国民の声が集まる、この国会本会議場ロタンダ・ホール(中央ロビー)で、党公認献金と旧統一教会特検(特別検察)法の受け入れを求めるハンガーストライキを始める」と宣言。「特検法の無道さと、特検法を拒否している『共に民主党』の無道さが、私のハンストを通じて国民により強い声として伝わるよう願う」と述べた。

チャン氏はハンスト5日目の19日、「つらい。徐々に限界がきている」と述べたが、「大韓民国を守れるのであれば、命を懸けて戦う覚悟を曲げない」とした。

ハンストは「非暴力・非対立型」の抗議手段として、韓国では政治家などが行うことがあるが、「政治的パフォーマンス」と揶揄(やゆ)されることがしばしばだ。2023年には、現大統領で、当時、「共に民主党」の党首だった李在明氏が福島第一原発からの処理水放出に反発してハンストを行った際も、一部の支持者を除き、ほとんど支持は得られなかった。

チャン氏のハンストには、与野党から心配の声が出ている。韓国紙の東亜日報が党指導部の説明として伝えたところによると、チャン氏は水と少量の塩以外、固形物を一切口にしておらず、健康状態は悪化しているという。同党のソン・オンソク院内代表は「(チャン氏は)日に日に顔色が悪くなっており、健康が悪化する姿を見るのはあまりにつらい。個人的には、代表がハンストを中止して、健康を回復させてから李政権の非道さと戦う方がいいのではないかと考えている」と述べた。また、与党「共に民主党」のチョン・チョンレ代表は「名分なきハンストを早急にやめよ」とした上で、自身もかつてハンストを行ったことがあるとした上で「どれほどつらいことかわかっている。健康が何より大事だ。食べて戦え」と中止を勧めた。

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