<W解説>イラン攻撃で北朝鮮は戦々恐々?
<W解説>イラン攻撃で北朝鮮は戦々恐々?
米国とイスラエルがイランを攻撃したことを受けて、トランプ米大統領の次の標的が北朝鮮になりかねないとの見方が出ている。米国はかつてイラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と呼んだ。今回のイラン攻撃で同国の最高指導者ハメネイ師が死亡した。イラクでは2006年にサダム・フセイン元大統領が米軍からイラク側に身柄を引き渡された後、処刑された。両者とも独裁者として知られたが、この3か国のうち、残る独裁者は、2011年から最高指導者に君臨している北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記だけだ。今回のイラン攻撃に金氏の心中は穏やかではないかもしれない。

今回、米国とイスラエルは、核兵器の開発が最終段階に近づいているとされるイランの最高指導者ハメネイ師の排除に踏み切った。核の脅威を事前に遮断するためには、軍事力による先制的な措置も辞さない姿勢を示した形だ。

米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃を受けて、イランと「反米」で一致し、伝統的な友好国である北朝鮮はすぐさま反応した。北朝鮮外務省の報道官は今月1日に発表した談話で、「徹底的に不法で非道な侵略行為であり、最も醜悪な形の主権侵害だ」と攻撃を非難した。報道官は「自らの利己的で覇権的な野望を達成するためには、軍事力の乱用もためらわない米国とイスラエルの厚顔無恥な、ならず者の行動を最も強い口調で非難する」とした上で、「何によっても正当化されることのない侵略戦争行為は、いかなる場合でも容認されるべきではない」と訴えた。

韓国紙の韓国日報は、北朝鮮が出した談話について、「北朝鮮の激しい反応は、米国とイスラエルがイランで行ったような『斬首作戦』を恐れていることを示している」と指摘した。北朝鮮指導部は、以前から米国の「斬首作戦」を警戒してきた。韓国の最大野党、「国民の力」の重鎮、アン・チョルス議員は4日、自身のSNSに「グリーンランド併合の試み、ベネズエラ大統領の拘束、メキシコ麻薬王の射殺に続き、米国はイランを電撃空襲し、イラン最高指導者のハメネイ師を排除した。このように、米国は、軍事力を動員する国際政治を展開している」と投稿。その上で、「対北政策もまた、この流れから自由ではない。イラン問題が解決すれば、その次は北朝鮮になるからだ」との見方を示し、「口先だけの非核化だけではなく、金正恩指導部を物理的に後退させる可能性もあり得る」と指摘した。

また、アン氏は韓国軍の最精鋭特殊部隊で、北朝鮮の首脳部暗殺などを任務とする707特殊任務団について触れながら、「北朝鮮指導部を速やかに排除する韓国最精鋭部隊として、有事の際に最も危険な場所で、最も困難な任務を完遂する核心動力としての地位を改めて確立させなければならない」とし、「707特任団の戦闘力が備われば、それ自体が北朝鮮を圧迫する軍事的代案を手にすることができる」とした。

今回のイラン攻撃は金総書記に「次の標的は自分ではないか」という恐怖を与えたのではないかとの見方も出ている。一方、韓国の与党「共に民主党」の重鎮、パク・チウォン議員は2日、ラジオ番組のインタビューに応じ、金総書記はハメネイ師の死去に「かなりのショックを受けたはずだ」との見方を示した上で、「しかし、金総書記は、『北朝鮮はイランとは違う』『北朝鮮は既に核を保有しているため、誰も攻撃することはできない』という自信を持っているだろう」と推測した。

米ワシントンのシンクタンク米韓経済研究所(KEI)のエレン・キム学術部長も同様の考えを示した。韓国紙の中央日報によると、キム学術部長は3日(現地時間)、KEIとインド太平洋安全保障研究所(IIPS)が共催したセミナーで、「イラン指導者に起きたことを見ると、誰もが『金正恩が怯(おび)えている』と考えるだろうが、イランと北朝鮮はかなり異なる」とし、いわゆる「斬首作戦」を金総書記に適用するのは難しいとの考えを示した。キム氏は「北朝鮮は核兵器を保有しているため、米国が(北朝鮮への)軍事作戦を選択するのは(イランよりも)はるかに危険だと思う」とした。また、中国とロシアが北朝鮮を支援していることも理由の一つに挙げた。

トランプ米大統領は3月末に中国を訪問する予定。このタイミングで米朝首脳会談が開かれる可能性がこれまで指摘されてきたが、イラン攻撃を受け、不透明になったとの見方が出ている。一方、イランへの軍事行動が長期化した場合、強まることが予想される批判をトランプ氏がかわすため、外交成果として会談を行う可能性も指摘されている。

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