<W解説>中朝旅客列車が6年ぶりに運行再開=韓国紙「人的・経済交流本格化のシグナル」
<W解説>中朝旅客列車が6年ぶりに運行再開=韓国紙「人的・経済交流本格化のシグナル」
中国と北朝鮮を結ぶ旅客列車が今月12日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中断されてから、約6年ぶりに再開した。韓国紙のハンギョレは「昨年9月の首脳会談を通じて関係修復に乗り出した中朝が、人的・経済交流を本格化させるシグナルとみられる」と伝えた。

北朝鮮は2020年1月末、新型コロナの世界的大流行を受けて早々と国境を封鎖。ウイルスや感染者の流入を徹底的に阻止しようとした。徹底した国境管理で、人・物の出入りを厳しく制限したが、2023年7月の朝鮮戦争の休戦協定の締結から70年の記念行事にロシアの国防相や中国共産党の政治局員らを招くなど、徐々に人の往来を再開。同年8月には、北朝鮮国営の高麗航空がピョンヤン(平壌)と北京の間、ロシア極東のウラジオストクの間で運航を再開した。北朝鮮が国際航空便を運航するのは約3年半ぶりのことだった。当時、旅客機には国境封鎖で中国やロシア国内に足止めされていた北朝鮮の住民が帰国するために続々と搭乗した。そして、同年9月、コロナ禍以降、初めて外国人の入国を許可。背景には、最終的に外国人観光客やビジネスマンの入国を正常化することで、経済活性化につなげようとする狙いがあったものとみられている。

旅客機、バスによる人的往来は再開したものの、国際列車の運行は中断したままだったが、今月12日、中朝を結ぶ国際旅客列車が運行を再開。同日午前10時すぎには、北朝鮮の首都・ピョンヤン(平壌)行きの列車が、中朝国境を流れるアムノクカン(鴨緑江)に架かる「中朝友誼(ゆうぎ)橋」を渡り、北朝鮮側に入るのが確認された。

北朝鮮は外貨獲得を狙いに、観光産業の活性化事業を進めている。昨年には、北東部のリャンガンド(両江道)のサムジヨン(三池淵)観光地区に、計五つのホテルが建設された。同地区は、中朝国境のペクトゥサン(白頭山)のふもとにあり、スキー観光地と位置付けられている。キム・ジョンウン(金正恩)総書記はこの地域を山間部の「モデル地方都市」に発展させる考えで、2018年ごろから大規模な開発事業が進められてきた。昨年12月には、同地区に建てられたホテルの竣工式が開かれた。現地を訪れた金氏はホテルについて「実用性と多様性、造形性と芸術性が高い水準で具現化されている」と満足感を示し、「三淵都市を国の観光文化を代表する革新的な文明都市へと一層立派に改変する」と改めて意欲を語った。現地で竣工式が行われたことは、国営の朝鮮中央通信が当時、大々的に報じた。公開されたミリョン(密営)ホテルの写真からは、「記者センター」と書かれた案内板も確認でき、今後、同ホテルを大規模行事や国際会議の会場として使用することも想定していることがうかがえた。

また、昨年7月には、東部のウォンサン(元山)に、金氏肝いりのリゾート「カルマ(葛麻)海岸観光地区」が完成した。ホテルのほか、スポーツ施設や商業施設などが整備された。

これら施設への投資を回収するためには外国人客の誘致が欠かせない。コロナ禍前の2018年に北朝鮮を訪れた外国人観光客は約20万人に上ったが、北朝鮮は現在、海外からはロシアのみ観光客を受け入れている。今後は、コロナ禍前まで最も多かった中国人観光客の受け入れ再開が焦点となっている。

こうした中、中朝を結ぶ国際旅客列車が運行を再開。列車は中国遼寧省の丹東・平壌間が毎日、北京・平壌間が週4回運行される。

当面は外交官ら公務関係者が主な乗客となる見通しだが、韓国紙のハンギョレは「中朝旅客列車が再び走り始めることで、北朝鮮には観光収入という経済的利益を、中国には北朝鮮との交流・協力を示す外交的成果が期待できる」と指摘した。

中国側も運転再開を歓迎しており、中国外務省の郭嘉昆副報道局長は10日、「中国と北朝鮮は友好的な隣国であり、定期旅客列車の運行を維持することは、双方の人的往来の利便性を促進する上で重要な意義を持つ」と述べた。

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