ソウル市長選、現職で5選を目指す「国民の力」のオ・セフン氏
ソウル市長選、現職で5選を目指す「国民の力」のオ・セフン氏
6月3日に投開票される韓国の統一地方選挙に向けた選挙運動が今月21日から始まり、与野党が激しい選挙戦を繰り広げている。昨年6月のイ・ジェミョン(李在明)政権発足後、初めて行われる全国規模の選挙で、政権の中間評価の性格を帯びる。革新系与党「共に民主党」は各地で優勢と伝えられている一方、「非常戒厳」を宣布したユン・ソギョル(尹錫悦)前大統領を支えた保守系最大野党「国民の力」は苦しい戦いを強いられている。ただ、選挙戦が終盤に差し掛かろうとしている中、「国民の力」が激しく追い上げているとも報じられている。

全国各地の自治体の首長や地方議員らを決める4年に1度の選挙で、今回は広域自治体の市長・道知事16人、区庁長・市長・郡守(郡の首長)227人、広域自治体の市・道議員933人、区・市・郡議員3035人、教育庁トップの教育監16人が選出される。国会議員の補欠選挙も併せて行われ、14議席を争う。

韓国の統一地方選は政権与党に有利に働く傾向にあり、革新系与党「共に民主党」は李大統領の高支持率を背景に、ここまで全国的に戦いを優位に進めている。同党が勝利すれば李氏の後押しとなり、同党は伝統的な保守の地盤も含め全国での圧勝を目指している。今月19日、日韓首脳会談が李氏の故郷、キョンサンプクト(慶尚北道)アンドン(安東)市で行われたが、慶尚道地域は伝統的な保守の地盤。同地域で外交手腕をアピールしたことは保守勢力の取り込みに好機となり得る。また、中東情勢の緊迫化で、エネルギー共有への懸念が強まる中、両首脳は会談でエネルギーなど経済安全保障面での連携を強化する方針を確認した。李氏にとっては、有権者の関心が高いエネルギー安全保障分野での成果と、地方重視の姿勢をアピールする機会にもなった。

前回2022年6月の統一地方選は尹前政権の発足から約1か月後に実施され、当時、政権を支えていた「国民の力」(現・保守系最大野党)は大統領選での勝利の勢いを維持し、大勝した。しかし、今回、同党は、逆風にさらされている。尹氏が2024年12月、「非常戒厳令」を宣言。尹氏はわずか6時間でこれを解いたが、その後もしばらく社会の混乱は続いた。保守、革新の政治的な対立が激化し、社会の分断も進んだ。尹氏は国会で弾劾訴追された後、昨年4月に憲法裁判所の決定で罷免された。それに伴い昨年6月に行われた大統領選挙では革新系「共に民主党」の李在明氏が勝利。「国民の力」は野党に転落した。

「国民の力」の党内ではこれまで、尹氏への評価をめぐり内紛が続いてきた。同党は今年1月、尹氏に批判的なハン・ドンフン(韓東勲)前代表を除名した。韓氏の家族が、インターネット上に尹氏夫妻を批判する文章を書き込んだ問題をめぐり韓氏が責任を問われたが、韓氏に近い議員は、韓氏が尹氏の弾劾に賛成したことへの報復だとして反発した。

内乱首謀罪などに問われた尹氏の裁判で、ソウル中央地裁は今年1月、尹氏に無期懲役を言い渡し、尹氏が国会に軍を送ったことは「内乱」と認定した。今月14日からはソウル高裁で尹氏の控訴審が始まった。一方、「国民の力」のチャン・ドンヒョク代表は「戒厳は内乱ではない」として尹氏を擁護し続けてきた。しかし、尹氏が宣言した戒厳令は有権者の大半が否定しており、罷免された尹氏を擁護し続ける姿勢は支持者離れを招いた。その後、チャン氏は戒厳について、党として公式に謝罪したものの、同党は支持率低迷が続いている。

今月21日から選挙運動期間が始まった。「共に民主党」は「国政安定」を訴え、地方選での勝利が安定した政権運営につながると強調している。また、尹前大統領の「非常戒厳」宣言による内乱の「完全な清算」も訴えている。一方、「国民の力」は「与党による権力独占を防ぐ」とし、均衡とけん制の必要性を訴えている。

こうした中、最も注目度が高いソウル市長選は「共に民主党」の新人候補、チョン・ウォノ氏と、現職で5選を目指す「国民の力」のオ・セフン氏による事実上の一騎打ちとなっている。チョン氏がリードしているとする調査結果が出ている一方、22日に発表された世論調査会社のエースリサーチによる結果では、両候補の支持率の差はわずか0.1%だった。韓国第二の都市で「保守の牙城」とされる南部のプサン(釜山)市の市長選でも、当初、「共に民主党」の新人候補の優位が伝えられていたが、「国民の力」の現職候補が盛り返してきたことをうかがわせる調査結果も出ており、激戦が予想される。

選挙運動期間は、投開票日前日の6月2日まで。与党が支持をさらに拡大するのか、野党が巻き返しを図るのか。激しさを増している選挙戦は終盤へと突入する。
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