<W解説>韓国・李大統領の支持率下落=最大の要因は投票用紙不足問題
<W解説>韓国・李大統領の支持率下落=最大の要因は投票用紙不足問題
韓国で今月3日に投開票された統一地方選挙において、一部の投票所で投票用紙が不足する事態となったことは、イ・ジェミョン(李在明)大統領の支持率下落にもつながっている。世論調査機関の韓国ギャラップが統一地方選後初めて行った世論調査として今月12日に公表した結果では、李氏の支持率は3週前の前回調査より7ポイント下がって57%だった。李氏に対する否定評価の理由として最も多かったのは投票用紙不足をめぐる問題(16%)だった。この問題は李氏も「参政権侵害の問題だ」とし、関係機関に責任の所在を明確にすることや、徹底した調査を既に指示している。李氏はこのほど、社会学者、政治学者のドイツのマックス・ウェーバー(1864~1920年)の責任理論を引用し、「与党と野党、そして政治的責任」と題する長文をSNSに投稿。これに、最大野党「国民の力」のある議員は15日、この投稿を投票用紙不足問題と絡め、「選挙管理委員会の運営結果が破綻寸前であるにも関わらず、政権側は選管の官僚たちにだけ責任を追及しようとしている」と指摘。「李大統領が自ら語ったその責任倫理を、自分自身にも適用しているのか」、「今回の問題における国家運営責任者は誰なのか」と李氏に疑問を投げかけた。

3日投開票された統一地方選では、与党「共に民主党」が全国16の広域自治体首長選のうちプサン(釜山)やウルサン(蔚山)など12か所で勝利。李政権に対する国民の支持が反映された形となったが、人口の約5分の1が集中する首都・ソウル市の市長選では、李大統領に近い同党のチョン・ウォンオ氏が、最大野党「国民の力」の現職、オ・セフン氏に僅差で敗れた。

与党大勝の結果となった今回の統一地方選だが、一部の投票所で投票用紙が不足する事態が発生。追加の用紙が届くまで有権者が長時間待たされたり、投票を諦めたりするなど混乱した。中央選挙管理委員会は3日、記者会見し、「公正な選挙管理への国民の信頼を損ねた」として謝罪した。選管の発表によると、投票用紙は全国91か所で計7194枚不足し、最長105分にわたり手続きが中断した。

選挙の公正性と管理体制の信頼を揺るがす事態に、ノ・テアク中央選管委員長が引責辞任に追い込まれた。また、真相究明のため、検察と警察による合同捜査本部が立ち上がり、現在、捜査が進められている。有権者からは中央選管への批判の声は高まっており、一部の有権者は選挙のやり直しなどを求めて抗議デモを続けている。

李大統領は投票用紙の不足問題に「国民の参政権の行使に多大な支障を招いた。その後の対応や国民への釈明も十分ではなかった」と中央選管を批判。関係機関に原因究明を求めた。一方、李氏は今回の事態を「不正選挙」だと主張する一部の声には反論した。李氏は14日に開かれた首席補佐官会議で「参政権の侵害に対する韓国国民の正当な問題提起は全て認め、受け入れる」とした一方、「ところが、これを悪用して荒唐無稽な陰謀論を扇動する勢力がさらに頭をもたげている」と指摘。不正選挙論者に対しては断固たる対応を取るよう指示した。

今月4日に大統領就任から1年を迎えた李氏は、これまで高い支持率に支えられ、安定した政権運営を進めてきた。前述のように、3日の統一地方選では、政権を支える与党「共に民主党」が圧勝。国政運営の確かな原動力を得ることとなった。

しかし、李氏の支持率は最近、下落が続いている。15日に世論調査会社のリアルメーターが発表した調査結果によると、李氏の支持率は51.5%だった。前週から3.7ポイント下がった。4週連続の下落となっている。リアルメーターは下落の要因について、投票用紙の不足問題が政局混乱へと拡大していることや、物価高など国民の経済的負担が増していることなどを挙げている。

この調査では李政権を支える「共に民主党」の支持率が38%となり、政権発足後、最低を記録した。一方、最大野党「国民の力」は44.3%となり、現政権発足後、最高となった。韓国紙の中央日報は韓国外国語大学政治外交学科のイ・ジェムク教授の見解を紹介。イ教授は同紙の取材に「選管の問題はもちろん、不動産問題、物価高などの責任論が与党に集中している」とし、「民主党は執権能力を、国民の力は代替政党としての実力を証明すべき試験台に立たされている」と話した。

李大統領、そして政権を支える「共に民主党」はこの難局を乗り越えることができるか。
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