韓国代表の1次リーグ初戦であるチェコ戦が行われた12日、ソウル中心部のクァンファムン(光化門)広場に設けられたパブリックビューイング会場には、試合を観戦しようと多くの市民らが詰め掛けた。聯合ニュースがソウル市の発表として伝えたところによると、この日午後1時の時点で1万6000~1万8000人の市民が集まったという。韓国時間で平日の日中に開催された試合ということもあり、昼休みを前倒しするなどして街頭応援に駆け付けた会社員の姿も見られた。通信社の聯合ニュースは12日配信の記事で「昼休みを利用して、食事もとらずに試合を見に来た」と話す20代の証券会社社員の声を伝えた。企業が主導して社員向けの応援イベントを企画する動きも見られた。聯合によると、ソウル市内の飲食店では、ビール大手のOBビールの社員ら約200人がそろいのユニホーム詩型で集まり、ビールとチキンを楽しみながら観戦した。証券会社が集まるソウルのヨイド(汝矣島)では、韓国投資証券が約1200席規模の特設会場を設けて団体応援を行ったという。
各地の学校では「教室応援」が実施された。韓国紙の中央日報によると、ある小学校では担任教師が保護者に対し「11時からチェコ戦をクラスメートと一緒に観戦します。赤い服があれば着てきて下さい」と告げる連絡文を送ったという。同紙によると、保護者からは「2002年、高1の時に教室のテレビで観戦し、ゴールが入る度に机をたたいて廊下に飛び出した記憶が鮮明。その興奮を息子にも味わわせたい」などと学校でのテレビ観戦に理解を示す声も聞かれたという。
韓国代表は、この日の試合に2-1で逆転勝利した。韓国がW杯の1次リーグ初戦に勝利するのは2010年の南アフリカ大会以来で、国内は歓喜に沸いた。
こうした中、慶尚北道のとある高校では、一部の教員が生徒に試合中継を見せたことが、「教育権」をめぐる論争に発展した。生徒たちは授業中の午前11時のキックオフから、授業が終わって昼休みまで試合を観戦した。これに学校当局は学習権の侵害にあたるとして問題視し、校長は授業中に中継を見せた教師の特定に乗り出そうとしたとされる。観戦した生徒らはこれに反発。生徒会副会長を名乗る生徒は声明を発表した。声明文では「先生方は学業に疲れた生徒たちに一生忘れられない思い出をプレゼントしてくれた。それは共同体意識や情緒的なつながりを学ぶ『生きた教育』だった」と主張した。その上で学校側に対し、「教師の特定につながりかねない強圧的な対応をやめ、教育の本質を取り戻すべきだ」と訴えた。
声明文はSNSを通じて拡散した。スポーツソウルは「ネット上では『教育は教科書だけで成り立つものではない』と生徒や教師を支持する声と、『教育の時間は守られるべきだ』とする意見が真っ向から対立している」と伝えた。
前述のように、今大会、韓国では「教室応援」を行っている学校も多くある。論争の元となった高校がある慶尚北道の教育庁も、教育課程と関連付けられ、関係者間の協議が行われている場合には、W杯観戦そのものを教育活動に取り入れることは可能との立場だ。今回、慶尚北道の高校当局が問題視したのは、期末試験を控える中で、一部生徒が校内で観戦することが、学習権の保障を侵害しかねないことだったという。朝鮮ビズによると、この学校の関係者は「一つの学級で団体応援をすれば、隣接教室まで騒音が伝わり、授業に影響を及ぼしかねない状況だった。試験という特殊な状況でなければ十分に許容できた」と話した。
校内は既に落ち着きを取り戻したというが、学校側は、今回のことが「教育権」をめぐる論争として外部に広がっていることに戸惑いを感じているという。朝鮮ビズは「あらかじめ日程が公開される大型スポーツイベントの特性を考慮すると、事前に学校内で意見を収集する必要があると専門家は助言した」と伝えた。
韓国代表は1次リーグ第3戦の南アフリカ戦を25日に控えている。決勝トーナメント進出をかけた大一番となるだけに、各学校現場は「教室応援」の是非をめぐり、判断が迫られることになるかもしれない。
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