<W解説>韓国でスクープ、話題ドラマ生み出した放送局JTBCが苦境=メディア産業の変化象徴との指摘も
<W解説>韓国でスクープ、話題ドラマ生み出した放送局JTBCが苦境=メディア産業の変化象徴との指摘も
韓国のテレビ局JTBCが、日本の民事再生手続きに相当する回生手続きを申請した中、同局が制作しているドラマやバラエティ番組のうち、一部で撮影が中断しているとの報道が最近、相次いだ。また、同局は現在、北中米で開催中のサッカーワールドカップ(W杯)の主管放送局として試合を中継しているが、国際サッカー連盟(FIFA)に放映権料の一部を支払えていないとして、決勝トーナメント以降のテレビ中継が見られなくなる可能性が報じられた。

一方、JTBCはバラエティ番組やドラマの撮影が中断しているとの報道について、バラエティ番組については「事実無根」とし、ドラマについては一部、中断していることは認めたが、経営難によるものとの見方は否定した。W杯中継に関する報道についても「決勝戦まで全試合支障なく中継する」との声明を発表し、一蹴した。だが、同局を含む「中央グループ」のホン・ジョンド副会長が先月15日の記者会見で「歴史上、最も困難な時期」と述べたように、JTBCの難局は続きそうだ。

JTBCは、韓国最大のメディアグループ「中央グループ」傘下の放送チャンネル。社名のJTBCは「中央東洋放送」(Joongang Tongyang Broadcasting Company)の略で、2011年12月に開局した。設立当初は地上波3局との競争で苦戦を強いられたが、2016年10月、当時のパク・クネ(朴槿恵)大統領と友人のチェ・スンシル(崔順実)氏を中心とした政治スキャンダルをスクープし、JTBCの信頼度は急上昇した。17、18年の調査では放送局ニュース信頼度ランキングで1位を獲得した。ドラマ部門でも「SKYキャッスル~上流階級の妻たち~」(2018年)や、日本でも大ヒットした「イテウォン(梨泰院)クラス」など数多くの話題作を世に送り出してきた。

しかし、同局は先月12日、206億ウォン(約20億6000万円)規模の債務を返済できず、債務不履行(デフォルト)を宣言した。開局からわずか15年で経営危機に直面する事態となり、韓国のメディア業界に衝撃が走った。通信社の聯合ニュースは「デジタル化や動画配信サービスの台頭などメディア環境が急変し、テレビ放送の広告市場が大きく縮小したことが影響したとみられる」と伝えた。先月15日には日本の民事再生手続きに相当する回生手続きも開始を申請した。また、これを受け、JTBCの親会社である中央ホールディングスやコンテンツ制作子会社「コンテントリ中央」など4社も相次いで手続きを申請した。

中央グループのホン・ジョンド副会長は先月15日、緊急の記者会見を開き、「このような状況を招き、物議を醸したことについて、心よりお詫び申し上げる」と謝罪した。その上でホン氏は「私は、本日の再生申請を、放送という国家的な資産を保存し、取引企業の社員の誰もが安定感を取り戻すための新たな始まりにしたい考えだ」と述べた。一方、「再生手続きは、会社を整理(清算)する手続きではない」とし、「今回の決定は、中央グループの本質的な競争力と未来の価値を守り抜くための苦渋の選択であり、大韓民国のメディア・コンテンツ産業のエコシステムと職場を守るための透明で秩序あるプロセスだ」と強調した。

こうした中、同局が制作しているドラマやバラエティ番組のうち、一部で撮影が中断しているとの報道が出た。JTBCが再生手続きを申請したことが制作現場にも影響を及ぼしているのではとの懸念が広がったが、同局は撮影が中断と報じられたドラマについては制作上の理由を挙げ、バラエティ番組については「事実無根」とした。

また、同局は現在開催中のサッカーW杯北中米大会の主管放送局だが、今大会の放映権料の一部を大会主催者のFIFA側に支払えていないと日本メディアに報じられた。これを最初に報じたTBSテレビは、韓国で決勝トーナメント以降のテレビ中継が見られなくなる恐れがあると伝えた。この報道を受け、JTBCはすぐさま声明を発表。「決勝戦まで全試合を支障なく中継する」と強調した。

大会は決勝トーナメントが始まり、声明通り、JTBCの中継は維持されているが、JTBCの難局は続きそうだ。スポーツソウルは「かつて『韓国で最も信頼されるメディア』と評価された局が、いま債務不履行と民事再生手続きの局面に立たされている事実は重い」とした上で、「JTBCの異変は、テレビ、ドラマ、スポーツ中継の全てを飲み込む韓国メディア産業の変化を象徴しているのかもしれない」と指摘した。

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