チョン氏はソウル市出身の64歳。KFA会長をこれまで13年にわたり歴任してきたほか、経済界では、韓国を代表する総合不動産・建設企業IPARK現代産業開発などを系列会社に持つHDCグループの会長を務めている。
チョン氏は2013年に第52代KFA会長に就任し、17年、21年、25年と会長選挙に4回連続で再選を果たした。昨年2月に行われた第55代会長選挙では1回目の投票で有効票183票の85%を超える156票を獲得し、決選投票なしで当選を果たした。
だが、チョン氏をめぐっては、これまで国内のサッカーファンらから厳しい批判を受けてきた。23年にはプロサッカーリーグ、Kリーグの八百長事件で永久追放処分となっていた元選手らを「赦免」する決定を下し、非難された。また、同年、ユルゲン・クリンスマン氏を韓国代表監督に招聘(しょうへい)した際、通常の手続きを無視したとして批判を浴びた。クリンスマン氏はわずか1年で解任となっている。クリンスマン氏の後任には2024年7月、今回のW杯で韓国代表の指揮を取ったホン・ミョンボ氏が選任されたが、この選考過程でも、協会が定めたルールを無視した不透明なプロセスだと当時指摘された。また、今年5月、北中米W杯の韓国代表メンバーが発表された中、チョン氏は記者会見場に姿を見せず非難された。チョン氏はその時間、知人とゴルフをしていたとされる。
W杯北中米大会の開幕が迫る5月、チョン氏は大会後に会長職を退くと表明した。チョン氏は当時の声明で「代表が本大会で成果を出せるよう支援することが、協会長としての最後の役目だと考え、最善を尽くす」などとした。
W杯が開幕し、韓国は先月11日(現地時間)の1次リーグ初戦でチェコと対戦して2-1の逆転勝利をおさめ、幸先のいいスタートを切った。しかし、18日(現地時間)の第2戦ではメキシコと対戦し、0-1で敗れた。24日(現地時間)第3戦の南アフリカ戦も0-1で敗れ、1次リーグを3位で終えることになった韓国は、自力での決勝トーナメント進出を逃し、他グループの結果に運命を委ねる厳しい状況となった。一縷(いちる)の望みにかけたが、27日(現地時間)に行われたK組最終戦でコンゴ共和国がウズベキスタンに2-1で勝利したため、韓国はボーダーラインの各組3位の成績上位8チームから脱落。1次リーグ敗退が確定した。
韓国代表が早々に敗戦を喫し、国内では、とりわけ指揮官のホン氏や協会、それに協会トップのチョン氏に対する批判が高まった。ホン氏や一部の選手、チョン氏らは先月30日早朝、韓国に帰国したが、空港では罵声が飛び交い、チョン氏には異物が投げつけられる事態にもなった。
ホン氏は責任を取る形で、先月、辞任を表明。そして今月6日にはチョン氏が協会トップを退くことを表明した。チョン氏は声明で「韓国サッカーの発展と栄光だけを見て走り続けてきたが、時には深い失望を与えてしまった」とし、「今後は一人のサッカーファンとして韓国サッカーを応援していきたい」などとコメントした。前述のように、チョン氏はW杯終了後に退任することを既に表明していたが、国内で批判が高まっていることを受け、「一日でも早く正常化させるために、早く辞めることを判断した」と説明した。
協会は今後、会長選を実施し、新しいトップを選出することになるが、韓国紙の東亜日報は「新会長選出までには少なくない曲折が予想される」と伝えた。会長選は協会の定款に従って60日以内に実施しなければならないが、同紙は文化体育観光部(部は省に相当)長官が現行の定款通りに実施することに対して難色を示していると指摘した。さらに同紙は「サッカー協会の選挙に関する定款は、上部団体である大韓体育会の定款に従わなければならない」とした上で、「大韓体育会が定款を改正しても、加盟競技団体の規定改正など複数の後続手続きが残るため、サッカー協会が60日以内に新会長を選出するのは容易ではない」と指摘した。
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