<W解説>韓国・ソウル市長に有罪判決、上級審で審理続く見通しで市政への影響懸念
<W解説>韓国・ソウル市長に有罪判決、上級審で審理続く見通しで市政への影響懸念
世論調査の費用を支援者に肩代わりさせたとして、政治資金法違反の罪に問われた韓国・ソウル市のオ・セフン市長に、ソウル中央地方裁判所は今月22日、1000万ウォン(約110万円)の罰金刑を言い渡した。判決が確定すれば失職するが、オ氏は控訴する方針を示しており、今後も裁判は続く見通しだ。オ氏は判決が確定するまで、市長職を維持し、職務も引き続き遂行するが、韓国紙のハンギョレは「裁判が長期化する可能性があるため、ソウル市は主要政策を推進しつつ、司法リスクも併せて管理しなければならない状況に直面することになった」と指摘した。

オ氏はソウル市出身の65歳。弁護士出身で、1994年に大企業を相手にしたマンションの日照権訴訟で、被告の建設会社から13億ウォンの損害賠償を勝ち取り、一躍、注目されることとなった。主に、環境問題に取り組み、大韓弁護士協会環境問題研究委員会議員などを務めたほか、ラジオやテレビの法律相談番組の進行役としても活躍。端正な顔立ちと物腰の柔らかさから人気を博した。2000年に国会議員を選ぶ総選挙で、現・最大野党「国民の力」の前身であるハンナラ党から出馬して初当選を果たし、政界入りした。2006年に歴代最年少の45歳でソウル市長に選出。2010年に再選を果たすも、翌年、学校給食の無償化政策をめぐって市議会と対立し、任期途中で辞任した。その後、2016年と2020年の総選挙に出馬し落選したが、パク・ウォンスン(朴元淳)前ソウル市長の死去を受けて2021年4月に実施された市長選で当選を果たし、ソウル市長に返り咲いた。その後、2022年6月の統一地方選で再選を果たした。

先月の統一地方選では、劣勢が伝えられていたが、大接戦の末、5選を果たした。当選確実となった際、公共放送KBSは、「住宅供給や再開発事業、交通網の拡充など、これまで進めてきた市政の継続制を訴えたことが支持を集めたとみられている」と伝えた。今月1日の就任式でオ氏は「5回の選択には5倍以上の責任が伴うと心得ている。今日、私はその重い責任を背負ってこの場に立った」と述べた。その上で、「市民が実感できない成果は真の成果ではないという姿勢で仕事をする」と宣言した。

こうした中、ソウル中央地裁は今月22日、オ氏に罰金1000万ウォンの判決を言い渡した。オ氏は2021年4月のソウル市長選を前に、政治ブローカーから世論調査の結果を受け取り、長年の後継者とされる事業家に費用を肩代わりさせたとして政治資金法違反の罪に問われていた。裁判所は「オ市長は法律の趣旨と内容を理解していたにも関わらず犯行を主導し、裁判では納得できない理由や主張を掲げ責任回避の態度を貫いている」と指摘。公職を失うことになる刑を言い渡すことは避けられないとした。韓国では選挙で選ばれた公職者が政治資金法違反で懲役刑や100万ウォン以上の罰金刑が確定すれば失職する。

昨年の大統領選挙では立候補の可能性も取り沙汰されるなど、保守系の有力政治家として知られるオ氏だが、韓国メディアのニューシスは「政治家人生最大の危機に直面した」と指摘した。判決が確定すれば市長職を追われるばかりか、2030年に行われる第22代大統領選挙に出馬する資格も失うことになる。

判決後、オ氏は「納得できない。無罪になるのが正しく、控訴審で争う」と述べた。

与党「共に民主党」からはオ氏の辞任を求める声が出ている。カン・ジュニョン首席報道官は「司法府の重い判決の前に苦しい弁解は立つ瀬がない。オ市長は自身の罪を謙虚に認め、法的・政治的責任を果たすことを望む」と述べた。一方、オ氏に近い最大野党「国民の力」など野党議員からは「1審判決は納得しがたい」「上級審で真実が明らかになるだろう」との声が聞かれた。

オ氏が控訴する方針を示したことについて、韓国紙のハンギョレは「裁判が続く間、市政全般に及ぼす間接的な影響は避けられない見通しだ」と指摘。「5期目を迎えたオ市長のもと、ソウル市は再開発・再建築をはじめとする整備事業、交通網の拡充など、大規模な政策を進めている」とした上で、「多くの事業が長期間にわたり予算と行政力は投入されるだけに、政策推進の過程で政治的な要因も併せて考慮せざるを得ない」と解説した。
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