北朝鮮が埋設した地雷の形状 参考資料(合同参謀本部 提供)
北朝鮮が埋設した地雷の形状 参考資料(合同参謀本部 提供)
韓国軍合同参謀本部は今月23日、大雨により、南北軍事境界線近くの非武装地帯(DMZ)に埋められていた地雷の一部が流出した可能性があると明らかにした。北朝鮮は韓国を「最も敵対的な国家」と位置づけ、2024年頃から軍事境界線付近で地雷の埋設などを進めている。北朝鮮では20~21日にかけて南部のケソン(開城)や南西部のファンヘナムド(黄海南道)などで集中豪雨が発生。韓国に流れこむイムジンガン(臨津江)の上流にあるファンガン(黄江)ダムを韓国への事前通知なしに放流した。北朝鮮がDMZに埋設した大量の地雷の一部が放流された水と共に流れてくる恐れがあり、韓国軍合同参謀本部は、見つけても決して触れず、軍や警察に通報するよう呼び掛けた。

北朝鮮はこの時期、しばしば大規模な水害に見舞われる。2024年7月に中朝国境地帯のピョンアンプクト(平安北道)で発生した水害では、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が自ら被災地に赴いて陣頭指揮を執った。当時、北朝鮮の国営メディアはゴムボートに乗って浸水した地域を視察する金総書記の写真を掲載。「人民に寄り添う姿」、「人民を第一に考える指導者像」をアピールした。

当時の豪雨の際も、北朝鮮は黄江ダムを放流した。このダムを放流すると、下流の韓国北部キョンギド(京畿道)ヨンチョン郡にあるクンナム(郡南)ダムなどの水位に影響が出る。北朝鮮側から韓国側には臨津江が流れており、上流にあるのが黄江ダムだ。このダムは韓国との軍事境界線から約40キロ北に位置し、推定貯水容量は約3~4億トンとされる。2007年に完成した。ダムの利用目的について北朝鮮側は水力発電や灌(かん)がいに用いているとしている。

2009年9月には北朝鮮が予告なしに黄江ダムの放流を行い、下流にいた韓国人キャンプ客ら6人が死亡する事故が発生した。事故を受け、南北はダムの放流時には事前に通知することで一度は合意した。しかし、北朝鮮は2010年に2回、13年に1回事前通知して以降、合意に反して事前通知なしに放流を行っている。2016年5月には、北朝鮮に近いパジュ市の漁民100人余りが放流によって漁具が流される被害を被った。2020年8月にも北朝鮮が事前通知なくダムの水門を開き、臨津江の韓国側の下流の水位が急上昇。地元住民は緊急避難を余儀なくされた。当時の韓国統一部(部は省に相当)長官は遺憾の意を表し、「南北間の政治・軍事的状況がいくら厳しくても、人道的分野と南北境界地域の住民の安全に直結する部分は南北で疎通を直ちに再開する必要がある」と強調した。

北朝鮮によるダムの無断放流で韓国が懸念するのは水害だけでない。放流によって地雷が韓国側に流れ着く恐れがある。北朝鮮は韓国を「最も敵対的な国家」と位置づけ、2024年頃から軍事境界線付近で地雷埋設や鉄条網の補強、南北をつなぐ道路を爆破するなどの作業を進めている。南北の間に見える形で「国境」をつくるための措置とみられている。

北朝鮮が埋設した地雷には、木箱に入ったもののほか、木の葉に偽装し、見分けをつきにくくしたものもあり、韓国軍合同参謀本部や韓国メディアはこれを「木の葉地雷」と表現している。

北朝鮮では今月20~21日にかけて、南部の開城や南西部の黄海南道などで豪雨となり、水害が発生した。これを受け、韓国軍合同参謀本部のチャン・ドンヨン広報室長は23日、「(北朝鮮から)流出した地雷が南北にまたがる河川を通じ、韓国側に流入する可能性が極めて高く、地雷が爆発すれば大きな被害が生じる懸念がある」として注意を呼び掛けた。

過去には2010年8月、臨津江を流れてきた北朝鮮製の地雷が韓国・京畿道ヨンチョン郡で爆発し、韓国人男性2人が死傷する事故も起きており、合同参謀本部は警戒を強めている。
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