北朝鮮がロシアを支援するために大規模な派兵を行っていたと初めて報じられたのは、24年10月のことだった。同月には、ロシアの輸送艦が北朝鮮東部のチョンジン(清津)やハムン、ウォンサン(元山)の港から北朝鮮兵士を極東ウラジオストクに移送。その後、兵士たちはロシア東部の軍事施設で訓練を受けたと当時、伝えられた。11月に入ると、一部が戦闘に参加したことも確認された。北朝鮮兵士の派兵は同年6月にロ朝が締結した「包括的戦略パートナーシップ条約」に基づくもので、北朝鮮は派兵と引き換えに、ロシアから様々な軍事技術の提供を受けているとみられている。昨年12月、北朝鮮の朝鮮中央通信は、建造中の排水量8700トン級の原子力潜水艦をキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が視察したと報じたが、韓国の聯合ニュースは、この潜水艦の建造にあたり、北朝鮮がロシアから原子炉の提供や技術支援を受けた可能性を指摘した。
北朝鮮はこれまで第1次、2次、3次と派兵してきているが、ウクライナ軍情報総局(GUR)は、これまでに最大で2000人が死亡し、4000~5000人が負傷したと分析している。金総書記は昨年8月、戦死した兵士たちの遺族と面会。涙ながらに「彼らの命を守れず申し訳ない」と謝罪した。その上で、「英雄たちが残した子供たちは、父のように強く勇敢な闘士に育てる」と強調した。朝鮮中央通信は当時、金総書記が戦死した兵士の子どもを抱きしめる様子を撮影した写真などを配信した。
昨年12月には帰還した兵士の歓迎式典が開かれた。兵士たちは、ロシア西部クルスク州で地雷の除去作業などにあたっていたとみられ、式典に出席した金氏は「膨大な面積の危険地帯が短時間で安全地帯に一変する奇跡が成し遂げられた」「工兵戦闘任務で輝かしい戦果を勝ち取った」と兵士らをねぎらった。式典の様子は朝鮮中央テレビでも放送され、金氏が車いすに乗った兵士らに声をかけ、抱き合う場面もあった。一方、任務遂行中に9人が犠牲になったことも明らかになった。
金氏は5月のロシアの対独戦勝記念日にプーチン大統領に祝電を送った。祝電では「包括的戦略パートナーシップ条約」を取り上げ、「条約の義務履行で責任を果たす」と強調した。
こうした中、ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は今月25日、ロシアが北朝鮮に3万人の追加派兵を求めており、ロシア南部のボロネジ州で受け入れ準備が進められていると主張した。また、北朝鮮が弾道ミサイルの発射装置をロシアに供与する準備も行われているとも語った。
今月19日には、北朝鮮のチェ・ソニ外相がロシアを訪問し、プーチン大統領と会談した。チェ氏は「ウクライナ危機の根本原因を取り除くことを目的とした、ロシアによるあらゆる取り組みを今後も揺るぎなく支持する」と述べ、包括的戦略パートナーシップに基づく軍事協力を改めて確認している。
ロシアが北朝鮮に新たな派兵を要請した背景には、前線でのロシア軍の兵力損失があるものとみられる。また、ゼレンスキー氏は、「ロシアは北朝鮮が戦争の遂行方法を学び、兵器を改良し、実戦経験を積むのを支援している」と指摘。「これら全てが北朝鮮のミサイルの射程圏内に入るアジアの全ての人々にとり脅威となる」と警告した。
韓国外交部(外務省に相当)の当局者は27日、ゼレンスキー氏の主張に対し、「朝ロ(ロ朝)軍事協力の関連動向を綿密に注視している」と述べた。
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