スティール氏は1955年、ソウル市生まれ。韓国名はパク・ウンジュ。日本での生活を経て1975年に米国へ移住した。カリフォルニア州を拠点に政治活動を行い、2021年から4年間、下院議員を2期務めた。KBSによると、スティール氏は議員時代、ハーバード大学のラムザイヤー教授による慰安婦問題をめぐる論文問題に対応したほか、朝鮮戦争(1950年6月~53年7月)の後に北朝鮮にいる家族と離れ離れになった韓国系米国人が再会できるよう支援する法案を提出するなど、韓国への関心が高いと評価されているという。
昨年1月にフィリップ・ゴールドバーグ前大使が退任して以降、駐韓米国大使は不在となっていたが、米国のトランプ大統領は4月、自身の第2次政権における最初の駐韓大使の候補にスティール氏を指名。上院での承認を経て、正式に任命された。韓国系の駐韓大使の就任はソン・キム氏に続き2人目となる。
スティール氏は先月30日、韓国に到着し、韓国語で「こんにちは。韓国国民の皆様に謹んでご挨拶申し上げる」とあいさつした。その上で「自分が生まれた国に戻って米国国民のために働く大役を担うことになり、光栄に思うと同時に、身の引き締まる思いで、重大な責任を感じている」と述べた。また、スティール氏は米韓同盟に対する「揺るぎない信頼」を強調。「今のような重要な時期こそ、我々は力を合わせ同盟の次の章を開いていかなければならない。これを通じて米韓同盟が成果中心的かつ未来志向的な同盟として持続できるよう最善を尽くす」と述べた。
また、スティール氏は朝鮮戦争終了後の1953年以降の米韓関係について触れながら、「53年以来、米韓同盟は北東アジア、より広範囲なインド太平洋地域、そしてその向こう側の平和と安全保障、繁栄のための要の役割を果たしてきた」とし、「我々の経済的紐帯(ちゅうたい)、連合防衛体制、そして両国国民間の変わらぬ友情は、双方に利益をもたらし地域の安定を維持するパートナーシップの動かぬ証拠だ」と述べた。
スティール氏の着任に韓国外交部(外務省に相当)は歓迎の意を示した。パク・イル報道官は先月31日の定例会見で「大使の着任により、一層効果的で緊密な外交コミュニケーションが可能になる」と期待を示した。
スティール氏の着任を報じた韓国紙の東亜日報は「スティール氏の韓国着任に寄せられる期待は極めて大きい。米国で新政権が発足するたびに駐韓大使の空席は生じてきたが、韓米間の懸案が山積し、どれ一つとして解決の兆しが見えない現在の状況では、その不在を埋める人物を待ち望む声が一段と強かったためだ」と指摘。「特に、ソン・キム元大使に続く2人目の韓国系の駐韓大使である上、政治家出身として存在感もあるスティール氏の役割が注目されている」と伝えた。
現在、米韓間には対米投資と関税、戦時作戦統帥権の移管、原子力協力、親会社が米企業である韓国ネット通販大手クーパンの個人情報流出事件をめぐる問題など懸案が山積している。
東亜日報は「トランプ政権がイラン戦争への対応に追われ、両国間の懸案をめぐる協議は後回しにされてきた。こうした中での韓国系大使の着任は、各種の同盟懸案を軌道に乗せる絶好の機会だ」とする一方、「過度な期待は禁物だ」とし、「スティール氏は韓国系とはいえ、あくまでも米国人であり、米国とトランプ氏を代弁する米国の大使だ」と指摘した。
韓国の通信社、聯合ニュースによると、スティール氏は聯合への寄稿で両国の間に意見の相違があることも指摘したという。スティール氏は「われわれの前にはまだ多くの課題が残っており、その挑戦課題を決して過小評価してはならない」とし、「多くの課題で素晴らしい進展を成し遂げたが、その他の課題についても更なる関心と率直な対話、そして双方が相違点を乗り越え、相互利益につながる道を探ろうとする意志が必要だ」と記した。
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