今年2月末に米・イスラエルによるイラン攻撃が始まり、イランはその対抗措置としてホルムズ海峡を事実上、封鎖した。同海峡は原油輸送の大動脈で、封鎖により原油価格の乱高下や、ガソリン・日用品などの物価高騰を招くなど、世界経済に深刻な影響を与えた。米イランは6月に戦闘終結に向けた覚書を締結したものの、その後も戦闘が再燃。戦闘開始から半年が過ぎたが、海峡も事実上の封鎖が続いている。
トランプ氏は海峡の安全確保をめぐり、これまで韓国や日本などの対応を批判してきた。4月には韓国に対し、米国が北朝鮮から韓国を防衛するため駐留させている在韓米軍の規模に触れながら「われわれは困難な地域である核戦力(北朝鮮)のすぐ隣に4万5000人の兵力を置いているのに、韓国はわれわれの役に立たなかった」と述べ、ホルムズ海峡への艦船派遣要請に韓国が応じなかったことに不満を示した。
先月30日にもトランプ氏は、韓国を名指しし、「強く押し通しはしなかったが、(イランの状況に対する支援に)参加するかと尋ねたところ、彼らは『遠慮しておく』と答えた。私は自分自身に(このことを)記憶しておこうと言い聞かせた」と語った。
こうした中、複数の韓国メディアによると、韓国軍は「航行の自由」を確保するため、海軍の部隊を海峡に派兵する具体的な準備を進めているという。哨戒機や補給艦など非戦闘目的での協力になるとみられる。韓国紙の朝鮮日報によると、韓国政府は先月、米側に派遣の意向を伝えたという。派兵には国会の同意が必要となるが、これに向けた準備も進められているとされる。
報道を受け、与野党からは様々な声が出ている。国会外交統一委員会・情報委員会に所属する、与党「共に民主党」のイ・ギホン議員は4日、自身のSNSに「青瓦台(大統領府)は『決定されたものはない』と明らかにしたが、韓国軍の軍需支援などの派兵カードがメディアを通じて取り沙汰されること自体、非常に憂慮すべきこと」とし、「いかなる名目でも、韓国軍のホルムズ海峡派兵は容認できない」と投稿した。
韓国紙の中央日報によると、そのほか、外交統一委員会所属の議員からは「戦闘に巻き込まれる可能性がある派兵には否定的」との意見が出る一方、「韓米同盟維持の観点から、トランプ大統領が圧力をかけているため、避けられない側面もある」との声もある。
同党の友党、祖国革新党のキム・ジュンヒョン院内代表は「派兵はいかなる場合にも越えてはならない一線」と主張した。最大野党「国民の力」のチョン・ジョムシク院内代表はSNSに「政府が既に米国の信頼を失っている中で、遅ればせながら派遣検討に着手したことは時機を逸している」と批判した。その上でチョン氏は「派兵には国会の同意が必要だ。わが国の軍を海外に送ることは簡単に決定できる事案ではない」とし、「問題はイ・ジェミョン(李在明)政権がホルムズ派兵の問題に右往左往して主導権を失い、米国の圧力に屈していることだ。政府は国会で現在のホルムズ海峡と韓米関係の状況がどのようであるか、きちんと公開すべきだ」と主張した。
こうした中、イラン外務省のバガイ報道官は今月7日、自身のSNSに「韓国との友好関係を非常に重視している」とした上で、韓国軍が派兵を検討していることについて「深刻な結果を招く」とけん制した。
国民の理解を得られるかも不透明だ。4月に、ある世論調査会社が実施した調査では、「イランと戦争を行っている米国を韓国は支援すべきか」との質問に、「すべきでない」と答えた人は65%に上った。
韓国の通信社、聯合ニュースは7日、「韓国政府は米国の要請を受け、ホルムズ海峡への兵力や軍事装備品の派遣準備を具体化したが、再び慎重な姿勢に転じている」と報じた。李政権は、米国からは圧力がかかり、イランからは牽制される中、難しい判断を迫られることになりそうだ。
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