李大統領が米韓同盟と中韓関係のバランスを模索する中、チョ外相は7月の就任後、初めて中国を訪問。王外相と約3時間にわたり会談した。チョ氏は10月末から韓国南東部のキョンジュ(慶州)で開かれるAPEC首脳会議に合わせた習主席の訪韓を要請。「習主席が韓国を訪問し、韓国の新政権と中国政府が関係を発展させていくことを望む」と述べた。これに対し、王氏は「APECを契機に関係を発展させていくことは中国にとっても重要」とした。また、「互恵的なウィンウィンの目標を堅持し、実の伴う戦略的パートナーにならなければならない」とも述べた。
また、チョ氏は北朝鮮を対話の場に戻すため、中国側の協力を要請。これに対し、王氏は、中国側は朝鮮半島の平和と安定のために建設的役割を担うとした。聯合ニュースによると、チョ氏は、朝鮮半島の緊張緩和と非核化に向けた李政権の構想も説明したという。一方、朝日新聞は「会談後、韓国側は発表文で朝鮮半島の非核化に触れたものの、中国側の発表には含まれていなかった」と指摘した。同紙は「中国側が北朝鮮に配慮した可能性があるとの見方が出ている」と伝えた。
中韓関係は、韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)前大統領が日本や米国との連携強化を外交政策の軸に置いたことに中国側が不満を強め、冷え込みが続いてきた。昨年5月に行われた中韓外相会談では、王氏が韓国のチョ・テヨル外相(当時)に不満を吐露。「近頃、中韓関係は困難や難題に直面している。これは双方の共通利益に合致せず、中国側が望んでいるものではない」とけん制した。
韓国では6月に李氏が大統領に就任したが、李氏は米韓同盟と日米韓の協力強化を外交政策の基盤とする一方、中韓関係を軽視しない意向を示している。
中国側も韓国での新政権発足を機に、関係改善を図ろうとしており、習氏は李氏が大統領に就任した日に祝電を送っている。その際、習氏は「現在、世界では100年来の変局が加速度的に進んでおり、国際、地域情勢の不確実要素は増えている」と指摘。韓国は「世界と地域の重要な国家だ」とした上で、「中韓戦略的パートナーシップを絶えず発展させることを共に促進したい」と呼び掛けた。
一方、李氏は就任から6日後に習氏と電話で会談。「韓国と中国の関係を重視しており、両国の協力関係がより成果を上げられるようにする」と述べた。習氏は「中韓関係の緊密化は両国の国民の利益に合致し、地域や世界の安定や発展にとって有益だ」と強調した。
中韓外相会談で、APEC首脳会議に合わせた習氏の訪韓を要請したチョ氏は、会談後、記者団に対し、「(習氏の訪韓は)確実だと感じた」と話した。
一方、北京で外相会談が行われた17日、韓国・ソウルでは極右団体が反中集会を開いた。警察の非公式の推計で約50人が集結。中国人に対する蔑称を叫びながら、「中国人の投票権反対」「華僑特恵=自国民逆差別」などと書かれたプラカードを持ってデモ行進した。ソウルでは最近、反中性向のデモが頻発している。中国人観光客も多く訪れるミョンドン(明洞)でも反中デモが繰り返されており、ミョンドン観光特区協議会は今月11日、地元警察に対し、デモ禁止を要請した。協議会は「道路交通や拡声器使用を制限する集会及びデモに関する法律」の第12条・第14条を適用するよう求めている。協議会は「デモ隊が特定国の観光客を狙った暴言やプラカードを掲げ、観光客に恐怖を与えている。韓国のイメージを損なっている」と訴えている。
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