同社は先月29日、クーパンの利用者の名前や電話番号、住所、注文履歴の一部が流出したと発表した。決済情報やログイン認証情報は含まれていないという。会員3370万人分の個人情報で、これまでに韓国で発生した情報流出の中でも最大規模の被害とみられている。流出は今年6月に始まっていたとみられるが、同社が被害を把握したのは先月18日だった。同社のパク・デジュン代表は先月30日、「被害を受けたお客様と国民の皆様に深くおわびする」と謝罪し、再発防止と原因究明に全力を尽くすとした。
今回の流出事故は、ハッキングによるものではなく、中国籍の元社員による犯行とみられている。警察は既に容疑者が使用したIPを確保しており、容疑者を特定するための捜査を進めている。だが、聯合ニュースは「元社員は退社後に海外に出国したとみられ、捜査が難航する恐れがある」と指摘した。
韓国政府は官民合同の調査チームを立ち上げ、実態解明と再発防止策の構築に着手した。ペ・ギョンフン副首相兼科学技術情報通信部長官は先月30日、政府ソウル庁舎で開いた緊急関係省庁長官会議で「今回の事故を悪用した2次被害が発生しないよう、今日から3か月間、モニタリングを強化する」と述べた。
Eコマースが盛んな韓国で、クーパンは韓国最大級のECプラットフォームを展開しており、独自の物流ネットワークや迅速な配送サービスが強みだ。特に、「ロケット配送」と呼ばれる翌日配送サービスが利用者に好評だ。韓国のほぼ全ての家庭が利用しているとされる。
韓国紙の東亜日報は、流出事故が明らかになるや、「『脱パン』(クーパン退会)や『カルパン』(クーパンからの乗り換え)を決心する利用者が増えている」と伝えた。同紙によると、4年間、ほぼ毎日クーパンの生鮮食品の早朝配送「ロケットフレッシュ」を利用してきたという、ある会社員は同紙の取材に、今月1日にクーパンを退会したと明らかにした。この利用者は「当分は毎夕方、近所のスーパーで食材を買って弁当を作るつもり。クーパンは二度と使わないと思う」と話した。オンラインコミュニティには、退会認証を添付した投稿も相次いでいる。同紙は2日、「あるオンラインコミュニティには『代替ショッピングモールを推薦してほしい』『これまでクーパンに頼りすぎていたようだ』といった投稿が数十件寄せられた」と伝えた。
また、韓国メディアのイーデイリーは、消費者の間で退会の動きが見られる中、退会するまでのプロセスが複雑だと伝えている。同メディアは「モバイルアプリからPC版へ移行しなければならないなど、6段階を経てようやく退会できる仕組みとなっており、不満が広がっている」と報じた。
「クーパン離れ」が起きていると伝えられる中、通信社の聯合ニュースによると、先月29日に情報流出が明らかになって以降、クーパンの1日当たりのアクティブユーザー数は急増しているという。聯合は「IT業界関係者や専門家の間では、個人情報流出による直接的な被害を受けていない消費者が多い上、生活の利便性の面でクーパンを利用し続けているのではないかとの見方が出ている」と伝えた。また、グローバル投資銀行のJPモルガンは1日(現地時間)に発刊した報告書で「クーパンは(韓国の)Eコマース市場で独占的な地位にあり、韓国の顧客はデータ流出に関してあまり神経質になっていないようにみえる」との見方を示した。
顧客離れは一時的、限定的なのか。ただ、聯合は前出の配信記事で、クーパンのサイトへのアクティブユーザー数の急増について「クーパンのサイトやアプリのログイン履歴を確認したり、情報流出に関するお知らせなどを確認したりするためにアクセスが増えたとの見方もある」とも伝えた。
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