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日本時間の基準地・明石市のシンボルとなった天文科学館

【明石市立天文科学館の歩み(抜粋)】

1910年(明治43年):最初の子午線標識が建てられる

1928年(昭和3年):天体測量で子午線位置を再測定

1951年(昭和26年):再観測による子午線位置決定

1960年(昭和35年):天文科学館が開館

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「子午線のまち」と呼ばれる兵庫県明石市。同地には日本標準時を決める東経135度の経線が通っており、1910年(明治43年)に、一番最初の子午線標識が建てられました。

そんな明石市には日本最古のプラネタリウムを持つ科学館があります。明石市立天文科学館は1960年(昭和35年)の「時の記念日」に開館。直径6.2mの大時計と、東ドイツ製の大型プラネタリウムを有し、「時」と「宇宙」をシンボルとする科学館として誕生しました。

天体観測が子午線の測定に使われた?!

(C)一般社団法人 明石観光協会

明石市を通る東経135度の子午線の正確な位置は、経度観測の結果、1910年(明治43年)に建てられた子午線標識の場所からずれていることがわかりました。1928年(昭和3年)、正確な子午線位置を決めるために、経度を測った方法として採用したのは「天体観測」でした。

星を観測して経度を決める測量方法で、これにより、1930年(昭和5年)に人丸山の月照寺に、1933年(昭和8年)には神明国道(現在の国道2号)に、新たな標識が建てられました。しかし、1945年(昭和20年)に明石大空襲があり、子午線標識も戦争の被害に。

その後の1951年(昭和26年)、月照寺で再び天体測量を行ない、より正確な子午線の位置を決定。それと同時に、市民の間で天文科学館を建設したいという声があがるようになりました。

「子午線のまち」明石にとって、正確な子午線の位置を知る手立てとなった「天体観測」。そして、ついに1960年(昭和35年)、町のシンボルとして、6月10日の「時の記念日」に明石市民待望の天文科学館が開館しました。

天文科学館が建てられたのは、日本標準時子午線の真上。天文科学館の塔時計には「J・S・T・M」の文字が刻まれています。これは「ジャパン・スタンダード・タイム・メリディアン」の略で、「日本標準時」のこと。

館内には東ドイツのカールツァイス・イエナ社製の大型プラネタリウムが設置され、日本最古のプラネタリウムとして、今も現役で動いています。

プラネタリウムの生みの親はドイツだった!

(C)一般社団法人 明石観光協会

夜空の星をドームスクリーンに映し出すプラネタリウム。日本最古の明石市立天文科学館のプラネタリウムが東ドイツ製であるように、こうした現代のプラネタリウムの技術は、実はドイツで開発されたものでした。

プラネタリウム誕生のきっかけは、ドイツ博物館長オスカー・フォン・ミラーの「地上に星空を展示したい」という一言でした。この依頼を受けて、カールツァイス・イエナ社のバウエルスフェルトが中心となって、プラネタリウムの技術を開発。1923年10月21日にプラネタリウム第1号機が完成し、ドイツ博物館で公開したところ、人々は「イエナの驚異」と絶賛。その後、改良を重ねて現在の形になり、世界中に広まったということです。

明石市立天文科学館にあるプラネタリウムは、カールツァイス・イエナ社製の大型プラネタリウムとして38台目に当たる製品です。今も現役で稼働している日本で最も古いプラネタリウムになり、2012年には稼働期間の長さが日本一、世界でも第5位となり、2015年には1960年の開館日の稼働から20,000日を数えたそうです。

はるか彼方の宇宙に広がる天体の動きを追って、正確な時間の位置を測定する。そんな子午線のまちとして始まった、明石市の一大プロジェクト。日本最古のプラネタリウムは今も「時のまち明石」のシンボルとして多くの人に親しまれています。

明石市立天文科学館

住所:兵庫県明石市人丸町2-6

電話番号:078-919-5000

営業時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)

休館日:月曜日、第2火曜日、年末

料金:大人700円、高校生以下無料

公式サイト:http://www.am12.jp/

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