<W解説>サッカー韓国代表監督が1年足らずで解任、責任を問う声は大韓サッカー協会会長にも
<W解説>サッカー韓国代表監督が1年足らずで解任、責任を問う声は大韓サッカー協会会長にも
大韓サッカー協会(KFA)は今月16日、ユルゲン・クリンスマン代表監督(59)の解任を発表した。昨年2月末の就任から1年足らずでチームを去ることになった。前任のパウロ・ベント氏は4年4か月にわたり監督を務めたが、これまで、韓国の代表監督はクリンスマン氏を含め1~2年で退任するケースも少なくない。今月上旬まで開催されていたアジアカップで、韓国は64年ぶりの優勝を目指したが、4強にとどまり、目標は達成できなかった。クリンスマン氏の解任が決まったのもこの結果を受けての判断。しかし、韓国紙の中央日報は「彼が退いてもこの状況が解消されるかは不透明だ」と指摘した。

クリンスマン氏はドイツ出身で、現役時代にはバイエルンなどでプレーし、ドイツ代表としてワールドカップにも出場。現役引退後は監督として自国開催の06年ワールドカップでドイツを3位に導いたほか、14年のブラジル大会にも米国代表監督として参加した。昨年2月、2026年の北中米ワールドカップまでの契約で韓国代表監督に就任した。就任当時、クリンスマン氏は「韓国代表が長い期間にわたり、絶えず発展をして成果を上げていることを知っている。アジアカップとワールドカップで成功を収めるため、最善を尽くす」と意気込みを語っていた。

しかし、クリンスマン氏の指導者としての評価は当初から分かれていた。監督代表監督の就任前、クリンスマン氏はバイエルン・ミュンヘン、米国代表チーム、ヘルタ・ベルリンなどで監督を務めたが、成績が芳しくなかったからだ。その上、ヘルタ・ベルリンでは監督就任後、3か月後の2020年2月に交流サイト(SNS)で一方的に辞任の意向を明らかにしてチームを去ったため、「無責任な監督」との批判が殺到した。朝鮮日報はクリンスマン氏の韓国代表監督の解任に関連する記事の中で、過去のこうした経緯を紹介し、「その後、どのチームにも呼んでもらえなかった監督を韓国が呼んだのだ」と回顧した。

韓国代表監督に就任以降、5試合未勝利となり、手腕を疑問視する声はさらに高まった。ピッチ内の戦術不足に加え、頻繁な海外滞在などでも批判を浴びた。海外組ばかりに目を配り、国内組を疎かにしているとの指摘も出ていた。

今月上旬までカタールで開催されたアジアカップには、韓国は1960年以来64年ぶりの優勝を目指して臨んだ。しかし、準決勝でヨルダンに敗れ、目標は叶わなかった。ヨルダン戦では枠内シュートがゼロだったこともファンの批判を招いた。また、試合前日にキャプテンのソン・フンミン選手とフランス・リーグ1のパリ・サンジェルマンに所属するイ・ガンイン選手がいさかいを起こしていたことが判明し、クリンスマン氏のチーム管理能力も疑問視された。さらに、クリンスマン氏は大会を終えて韓国に帰国した2日後に自宅がある米国に渡航。この行動もファンの怒りを買った。

大韓サッカー協会は16日、理事会を開き、クリンスマン氏の監督解任を決めた。韓国メディアはクリンスマン氏を酷評。朝鮮日報は「自由奔放なチーム運営を勲章のように掲げていたが、その裏には『選手団統率失敗』という副作用が伴っていた」とした。

一方、中央日報は「(アジアカップの)決勝進出に失敗した直後からクリンスマン監督に劣らず世間の視線が向けられている人物がいる」とし、大韓サッカー協会のチョン・モンギュ会長の名を挙げた。チョン氏の任期は2025年1月までで、記事はチョン氏について「代表チームの国際競争力を落とした状況に対して責任を取ろうとする意思は感じられない」と指摘。「チョン会長が韓国サッカーのハンドルを握っている限り、現在の混沌が繰り返される可能性は高いとみられる」とし、チョン氏が11年にもわたって会長職にとどまり続けていることを懸念した。さらに記事は「韓国サッカーの発展を渇望するファンの口をふさぐ会長、もう十分にやったはずだ」とし、遠回しに辞任を求めた。

Copyright(C) wowneta.jp