<W解説>韓国、李在明大統領の就任から1か月、スピード感際立つ政権運営
<W解説>韓国、李在明大統領の就任から1か月、スピード感際立つ政権運営
韓国のイ・ジェミョン(李在明)大統領が就任してから、4日で1か月になる。李氏は3日、就任後初の記者会見を開き、「この30日間は一日一日を熾烈(しれつ)に走ってきた時間だった」と振り返った。

韓国では、昨年12月に「非常戒厳」を宣言したユン・ソギョル(尹錫悦)前大統領の罷免に伴い、先月3日、大統領選が行われた。開票の結果、革新系「共に民主党」の李氏(60)が当選。翌4日、第21代大統領に就任した。通常、政権引き継ぎ委員会が発足した後に就任式が行われるが、今回は任期途中で尹氏が罷免となったことに伴い行われた大統領選だったことから、李氏は即就任となった。李氏の任期は2030年までの5年間だ。

李氏は南東部キョンサンプクド(慶尚北道)アンドン(安東)郡(現・安東市)出身。貧しい家庭に育ち、小学校卒業後は少年工として働きながら検定考試に合格、中学・高校の卒業資格を得た。1986年に韓国の中央大学を卒業し、弁護士となった。その後、ソウル近郊のキョンギド(京畿道)ソンナム(城南)市長を2007年7月~2018年3月まで務めた後、2018年7月~2021年10月まで京畿道知事を務めた。前回、2022年の大統領選では、最後まで尹前大統領と激しい争いを見せたが、約24万票の僅差で敗れた。その後は「共に民主党」代表として尹政権批判の急先鋒に立った。日本に対しては、長く強硬的な言動を続けてきたが、最近になって「対日強硬的」な発言を封印している。今年は日韓国交正常化60年の節目の年だが、李氏は両国間の立場の違いを越えて、様々な面で互いに協力していく関係性を築きたい考えを示している。

本日4日、李氏は就任から1か月を迎えた。通信社の聯合ニュースは「最初の1か月の政権運営は、これまでの政権とは異なり『即断即決』の連続だったといっても過言ではない」とし、「対外的には速やかな外交デビューを果たし、対内的にも国政安定や経済回復のための措置を間髪入れずに取った」とした。李氏は先月、カナダ西部カナナスキスで開かれた先進7か国首脳会議(G7サミット)に招待され出席。これが李氏の外交デビューになった。滞在中、9か国・地域の首脳と経済など多様な分野の協力強化策について話し合った。石破茂首相との初の日韓首脳会談も行われた。会談で李氏は両国の関係について「まるで庭を一緒に使う隣人のように、切っても切り離せない関係だ」とした上で、「小さな違い、意見の違いがあるが、その違いを越えて、両国が様々な面で互いに協力し、役に立つ関係へとさらに発展していくことを期待している」と述べた。

対内的には閣僚選びを迅速に進めた。韓国では大統領が閣僚候補を指名し、国会での人事聴聞会を経て正式な就任となるが、第1次内閣の閣僚候補はほぼ出そろった。聯合ニュースは「李在明政権と同様に政権引き継ぎ委員会が設置されず発足したムン・ジェイン(文在明)政権が、閣僚候補の指名を終えるまで54日かかったことと比べてもスピード感が目立つ」と解説した。また、国会では首相任命同意案が3日、与党「共に民主党」単独で可決し、キム・ミンソク(金民錫)首相が李政権の初代首相に就任することが決まった。このほか、李氏は就任初日に最初の行政命令として「非常経済点検タスクフォース(TF)」の設置を指示するなど、経済対策も迅速に進めている。公共放送のKBSは「就任からわずか1か月で閣僚人事をほぼ終え、G7外交もこなしたことについて、強い推進力で国政を安定させたとの評価が出ている」と伝えた。

6月30日に、世論調査会社のリアルメーターが発表した調査(同月23~27日実施)の結果では、李氏の支持率は59.7%だった。前回調査(同16~20日実施)の結果よりも0.4ポイント上昇した。

李氏は3日、就任1か月を前に記者会見した。李氏は「生活の苦痛を取り除き、再び成長・飛躍する国をつくることが最優先課題だ」とした上で、「何より、崩壊した国民生活の回復に全力を尽くしている」と述べた。日韓関係についても言及し、「北の核・ミサイルに対応する安全保障の問題や、経済的な面などで協力することが多い。民間交流も盛んで、私たちはお互いにとても重要だ」と述べた。その上で、両国の首脳が行き来する「シャトル外交」について、「早い時期に日本に一度行くつもりだったが、日本が選挙で忙しく、日程が決まらない状態だ。隣国なので、必要な時に頻繁に行き来しながら誤解を減らし、対話を通じて協力することは協力していきたい」と述べ、早期の訪日に意欲を示した。
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