「第4次韓流ブーム」とも言われる中、昨年の「Kフード」の輸出額は130億ドル(約1兆9559億円)を突破し、過去最高を記録した。輸出品目はラーメンや菓子、飲料、キムチなど多品目にわたり、農産食品の輸出先国は前年の199カ国から207カ国に増えた。輸出食品1位はラーメンで、前年比31.1%増の12億4850万ドルだった。ラーメンは今や世界13カ国以上に輸出されている。そのほか、菓子類は17.4%、飲料15.8%、ソース類4.1%、コーヒー2.7%、米加工食品38.4%、キムチ5.2%いずれも増加した。
Kフードは日本の食品市場でも存在感を高めている。食品産業新聞は、「Kフード」について「K-POPや韓流ドラマの人気を背景に、2003年ごろから食分野でも注目を集め、近年はSNSの発展や動画配信サービスの普及、第4次韓流ブームなどにより増勢基調だ」と伝えた。これを追い風に、日本に進出するチェーン店もあるといい、同紙によると、韓国発のハンバーガーチェーン「MOM‘S TOUCH(マムズタッチ)」は2024年に進出を果たし、1号店の渋谷店は開業から1年で約70万人が来店、累計売上高は5億円を超えた。今後、日本国内にさらに店舗数を増やす計画という。また、同紙はKフードの新商品開発に力を注ぐ、日本の食品メーカー各社の動きを伝えた。
韓国の食品大手、CJ第一製糖は昨年9月、東京都内に同社の主力商品を販売する「bibigo(ビビゴ)マート」をオープンさせた。韓国風餃子「マンドゥ」をはじめとする冷凍食品やカップ飯などを販売。売り場には飲食スペースやフォトゾーンも設け、同社のブランド「bibigo」を体験できる場を提供している。
韓国の文化体育観光部が5月に発表した「2024外国人観光客調査」によると、外国人観光客が韓国を訪れる理由の1位に「食の探訪」(62.8%)が挙がった。この結果を伝えた東亜日報は「長年、外国人の韓国訪問理由の1位はショッピングだったが、2022年を境にKフードがショッピングを抜いて1位に躍り出た。グローバル旅行プラットフォーム、アゴダが昨年実施した調査でも、アジアのグルメ旅行先1位に韓国が選ばれている」と解説した。
その上で同紙は、「APEC首脳会議には、キムチ、ラーメン、チキンなど多彩なKフードが勢ぞろいする」と伝えた。韓国の慶州では今月31日からAPEC首脳会議が開かれる。韓国でのAPEC首脳会議の開催は、2005年に南部のプサン(釜山)で開かれて以来、20年ぶり。韓国としてはAPEC首脳会議を成功させ、ユン・ソギョル(尹錫悦)前政権下での「非常戒厳」で揺らいだ国際的地位を回復させたい考えだ。大韓商工会議所は、デロイト・トーマツ・コンサルティングと共同で分析した結果、APEC開催による経済効果は7兆4000億ウォン(約7900億円)と見込んでいる。内需活性化など短期的な経済効果は3兆3000億ウォン、中長期的な間接効果は4兆1000億ウォンと分析した。
韓国の食品メーカー各社は、APECで「ガストロ外交(食文化外交)」が展開されることに期待を寄せている。前出の東亜日報によると、前出のCJ第一製糖は、APEC関連で訪韓した関係者の宿泊施設やメディアセンターにカップ飯やトッポキ(餅炒め)などを提供する。「辛ラーメン」で知られるノンシム(農心)は人気アニメ「KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ」とコラボしたラーメンを提供するブースを設けるという。
また、同紙は「KフードをAPEC首脳に印象付ける機会が、31日の公式晩さん会の場である」とし、「晩さん会のメニューは当日公開されるが、韓国系米国人シェフ、エドワード・リー氏がロッテホテルのシェフとタッグを組んで提供する予定だ。慶州の特産品である韓牛、カレイ、アワビなどが食材候補として挙がっている」と伝えた。
その上で同紙は「今回のAPECは、韓流コンテンツの人気と共に注目されるKフードを世界の舞台でしっかり印象付ける絶好の機会」と指摘。「官民が協力して韓国食の優越性と魅力を広く発信してほしい」とした。
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