韓国で、4月の総選挙を前に与野党の離脱組が合流して結成された「改革新党」の共同代表、イ・ナギョン(李洛淵)氏
韓国で、4月の総選挙を前に与野党の離脱組が合流して結成された「改革新党」の共同代表、イ・ナギョン(李洛淵)氏
韓国で、4月の総選挙を前に与野党の離脱組が合流して結成された「改革新党」の共同代表、イ・ナギョン(李洛淵)氏が今月20日、合流を解消することを明らかにした。方針表明からわずか11日で白紙に戻ることになった。与野党双方に批判的な層の受け皿となる「第三極」のまとまりをつくる狙いだったが、保守系与党「国民の力」の元代表、イ・ジュンソク(李俊錫)共同代表との新党内での主導権争いで決裂した。韓国紙の朝鮮日報は「韓国政党史において前例のない記録となるだろう」と伝えた。

李俊錫氏と、最大野党「共に民主党」の元代表で、同党が与党時代に首相を務めた李洛淵氏らが新党「改革新党」を結成することで合意したと発表したのは今月9日のことだった。李俊錫氏が立ち上げた「改革新党」と、李洛淵氏ら「共に民主党」を離党した議員らで結成の「新しい未来」、同じく「共に民主党」を離党したクム・テソプ前国会議員が率いる「新しい選択」、そして同様に「共に民主党」を離党したイ・ウォンウク議員率いる「原則と常識」が合流。新党の党名は李俊錫氏が立ち上げた「改革新党」を採用し、李俊錫氏と李洛淵氏が共同代表を務めることが発表され、総選挙に向け、「第三極」として支持を広げることができるかに注目が集まった。

李俊錫氏は2021年6月、国会議員経験がないまま当時36歳の若さで「国民の力」の代表に就任し、注目を集めた。党代表就任直後から「われわれは大統領選で勝利する」と宣言。一昨年の大統領選当時、同党公認候補だったユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は「李俊錫氏に選挙運動の全権を委ねたい」と述べ、李氏に信頼を寄せた。尹氏が大統領選に勝利したことから李氏は政権与党の代表となった。だが、李氏は尹氏側近らとの確執が肥大化した上、性的接待を受けた疑惑で党員資格6か月停止の処分を受け、代表を解任された。その後、独自の政治活動を続け、昨年末には離党と新党立ち上げを宣言。先月、「改革新党」を立ち上げた。

李洛淵氏は2020年8月に当時与党だった「共に民主党」の党代表に就任するも、大統領選を翌年に控えた21年3月、代表職を辞任。大統領選出馬への準備を本格化させるとみられた。そして、同年7月に出馬を表明したが、その後、党の候補者を決める予備選挙でイ・ジェミョン(李在明)氏(現・党代表)に敗れた。李氏は、李代表に批判的な「非(李在)明系」の代表格で、これまで党運営を批判してきた。先月、同党を離党し、今月4日に新党「新しい未来」を結成した。

それぞれ新党を立ち上げて間もない李俊錫氏と李洛淵氏が保守、進歩の枠組みを越えて勢力を結集する選択をしたことから、「改革新党」が4月の総選挙で台風の目になる可能性もあった。

25日に結党大会を開く予定だったが、李洛淵氏は20日、「大きく譲歩して統合を急いだが、様々な問題にぶつかった」と述べ、合流を解消することを発表。「皆さんを大きく失望させた」と謝罪した。背景には、李洛淵氏と李俊錫氏との主導権争いがあったとされる。19日、李俊錫氏に総選挙の指揮権を委任することが決まり、分裂につながった。李俊錫氏も会見を開き、「行き過ぎた自分の確信は、傲慢だったのではないかなど、反省すべき点が多い」と頭を下げた。

両氏のわずか11日での決別に、批判は免れない。韓国紙の朝鮮日報は21日付の社説で「二人には、当初から『反・尹錫悦』『反・李在明』以外に、いかなる共通点も見出しにくかった」と指摘。その上で、「政治理念や政策が全く違う人々が、選挙投機をするかのように集まった。そんな人々が『改革』」を掲げた。最初から最後まで、韓国国民を愚弄(ぐろう)するものだった」と非難した。

李洛淵氏は今後、合流前に自身が立ち上げた新党「新しい未来」を再建し、選挙体制を整えるとしている。一定程度の支持が見込まれる「新しい未来」が「改革新党」から離脱したことで、「改革新党」による第三極形成の計画にも支障が出るものとみられる。

Copyright(C) wowneta.jp