報道によると、19日の電話会談では、習氏が「中米関係はとても重要だ。両国は共に繫栄できる」と述べると、トランプ氏は「米中関係は世界で最も重要な2国間関係だ」と応じたという。トランプ氏は会談後、自身のSNSに「習主席と生産的な電話会談を行った」と投稿。貿易やフェンタニル(合成麻薬)問題、ロシアとウクライナの戦争を終結する必要性、中国系短編動画アプリ「TikTok(ティックトック)」の売却問題などについて話し合い、進展があったことを明らかにした。また、トランプ氏は、韓国で開かれるAPEC首脳会議で、習氏と会談することで合意したといい、「両者ともAPECでの会談を楽しみにしている」とつづった。
APEC首脳会議は10月31日、11月1日の2日間、韓国の慶州で開かれる。米国、中国のほか、日本など21カ国・地域が参加する。韓国ではことし6月にイ・ジェミョン(李在明)政権が発足したが、今回のAPEC首脳会議は、李政権下の韓国で初めて開かれる多国間の首脳会議となる。韓国としてはAPEC首脳会議を成功させ、ユン・ソギョル(尹錫悦)前政権下での「非常戒厳」で揺らいだ国際的地位を回復させたい考えだ。中央日報は22日付の社説で、「慶州APECは国際行事を越え、北東アジア情勢、さらには国際情勢の分岐点になる可能性がある」と指摘。「開催成功のために、政府と地方自治体は共に総力を尽くして緻密(ちみつ)に準備する必要がある。韓国の外交力を証明する機会にしなければならない」とした。
今回のAPEC首脳会議のテーマは「持続可能な未来の構築」。優先課題として「連結」、「革新」、「繁栄」の3つを掲げ、人工知能(AI)分野での協力や、高齢社会への対応などを主な議題として取り上げる。会議は慶州市の慶州ファベクコンベンションセンターで開かれる。現地では首脳会議のメイン会場であるポムン(普門)観光団地一帯や、晩さん会場となる国立慶州博物館中央広場などで、詰めの準備が進められている。また、期間中は最高レベルの警戒体制が敷かれることになっており、開催が近づく中、警察などは、警備体制の点検に着手した。
こうした中、今回のAPEC首脳会議の場でトランプ氏と習氏が顔を合わせることになった。両国の首脳が同時に韓国を訪れるのは、2012年の核セキュリティ・サミット以来13年ぶり。韓国紙のハンギョレは「今回の『慶州会談』が米中戦争、ひいては世界の経済と安全保障情勢にどのような影響を及ぼすかに注目が集まっている」と報じた。
韓国の公共放送KBSは「両首脳が顔を合わせるのは、第2次トランプ政権発足後初めてとなり、貿易と安全保障分野をめぐって会議で対立することが予想される」と伝えた。
韓国の通信社、聯合ニュースは、先月に行われた中韓外相会談の際、中国の王毅外相が「一方的な圧力が横行する情勢の中で、保護貿易主義に共同で反対しなければならない」と述べたことを紹介。聯合は「名指しはしなかったが、相互関税などを通じた自国中心主義を振りかざす米国を念頭に置いたものとみられる」とし、「APECでトランプ氏と習氏は世界の通商秩序を巡って対立する可能性がある」と指摘した。
また、中央日報は社説で、韓国に「架け橋」的な役割が試されると指摘した。李大統領はこのほど行われた米時事週刊誌「タイム」のインタビューに、「韓国が両陣営(米中)対立の最前線に立つ可能性がある」とし、米中という大国の間での「架け橋」の役割を強調した。毎日経済は李氏が強調したことが「現実化した」とし、「韓国外交の地平を広げる契機にしなければならない」と指摘した。
韓国大統領室は20日、「米中首脳会談が韓国で開かれることは歓迎すべきことで、韓国としては最大限支援する用意がある」とした。
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