式典には新興・途上国を中心に計26カ国の首脳級が出席したほか、これらの国以外の政府関係者や元首脳、国際機関の幹部らも参列した。日本からは鳩山由紀夫元首相、韓国からは、ウ・ウォンシク国会議長が出席した。式典では、「戦勝80年」に合わせて80発の礼砲が放たれた。続いて習氏が演説し、「中華民族は威圧を恐れない」とした上で、兵士に対し、「平和か戦争か、対話か対決かの選択に直面している。国家の主権や統一を断固として維持しよう」と呼び掛けた。また、第2次世界大戦における中国の役割を称賛。「中国人民は、国家として多大な犠牲を払いながらも、人類文明の救済と世界平和の維持に大きく貢献した」と強調した。続いて行われた軍事パレードには1万人以上の兵士が参加したほか、100機以上の航空機、軍用車両など数百台の地上装備が登場した。
今回の式典では、天安門楼上に北朝鮮の金総書記とロシアのプーチン大統領が習氏の両隣に並び、中ロ朝の結束を誇示した。3カ国首脳が北京で軍事パレードを観覧するのは66年ぶりという。習指導部としては、ロ朝への影響力を内外に示し、トランプ米政権をけん制した形だ。一方、韓国メディアは、最近疎遠だった中朝が今回の式典を機に接近し、「再生させるカードを切った」(東亜日報)ことにも注目した。通信社の聯合ニュースは「パレードの途中、金正恩氏と習氏が通訳と見られる関係者を通じ、体を傾けて対話する場面もあった」と伝えた上で、「1959年に開かれた中国の建国記念日を祝う軍事パレードでは、北朝鮮から当時のキム・イルソン(金日成)主席が出席したが、毛沢東主席と離れた場所に立っていた。今回の金正恩氏はこの時とは対照的だった」と指摘した。金氏と習氏は4日には6年ぶりに会談し、関係を強化することで一致した。会談で習氏が「中国と北朝鮮は運命を共にし、助け合う友人だ」とした上で、米国を念頭に「戦略的協力を強化し、共通の利益を守らなくてはならない」と述べると、金氏は「国際情勢がどう変わろうとも両国の友好は変わらない。関係を深め、発展させることが願いだ」と応じた。
北朝鮮メディアは金氏の式典出席を大々的に報じた。4日付の朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は、金氏が習氏と握手を交わす場面の写真など、1面から3面にかけて37枚の写真を掲載。3日の軍事パレードでは金氏が「対日戦争に参加した老兵たちを温かく祝った」などと伝えた。韓国の聯合ニュースは「国内向けの労働新聞が金正恩氏の多国間外交デビューを伝えたのは、最高指導者が国際社会で尊敬を受けていることを強調する意図があるとみられる」と解説した。
韓国大統領室のカン・ユジョン報道官は3日の記者会見で軍事パレードに中朝ロの3首脳が一堂に会したことについて「国際情勢が非常に複雑なだけに、状況を鋭意注視している」と述べた。
今回の一連の行事に、韓国からはウ・ウォンシク国会議長らが出席した。南北関係が冷え込んでいるが、軍事パレードの前にはウ氏が金氏とあいさつし、握手を交わす場面があった。聯合ニュースが伝えたところによると、ウ氏は金氏に対し、7年ぶりの再会だと声をかけたという。金氏は「はい」と応じたものの、反応は薄かったという。聯合によると、国会議長室の関係者は当初は対面するのが難しいと予想されていたが、会えたこと自体に意味があると話しているという。聯合は「深い対話はなかったものの、両氏のあいさつが南北関係にどのような影響をもたらすか注目される」と伝えた。
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