バリ島の高級ホテルなどでは、ホテルのエントランスロビーで民族楽器の生演奏が行われている所も多くあり、ホテルに到着した瞬間から旅の気分を盛り上げてくれます。
奏でられているのは、「ガムラン」と呼ばれる打楽器。
独特の音階に並んだ音板からポンポンと、なんとものどかな音色が広がります。

ガムランは伝統的な民族楽器ですが、バリ島の人々にとって毎日生活には欠かせません。
生きた伝統として今も受け継がれています。




演奏されるシーンの多くは、バリ島の90%が信者といわれるバリヒンズー教で日常的に行われるお祈りの行事「ウパチャラ」で、神様への奉納音楽の楽器として使われています。
演奏される場所はお祈りと同様、様々です。
寺院ではもちろん、各家や店舗・施設、交差点や広場、或いは行列では道路を歩きながら。

遠方への参詣時は、走るトラックの荷台に楽団が乗って移動しながら演奏されていることもあります。
楽団のトラック前後には同じ地域のローカルたちが乗りあった自動車が何台も連なって海や山の寺院へ向かいます。
このトラックと自動車の行列(?)も、かつては寺院まで歩いて参っていたのでしょう。
ライフスタイルと同時に、彼らの生活に欠かせない参詣もスタイルが近代化しながら、信仰を守り続けている、そんなバリ島が感じられます。




祈祷催事で用いられる「ガムラン」は、ほとんどが金属製の音板のものです。
子供たちの楽団もあれば、大人のプロの楽団もあります。

奏でられるのは、二拍子をベースに大小さまざまな形の打楽器が複雑なリズムで、独特なものです。
時には聞いているうちに、もしかするとこの様々な打楽器や笛の音色は、風の音や雨の音、川の流れや木々のざわめきなど自然の音を表現しているのかしらと感じることもあります。
一体どこでどうリズムを取ってよいのか戸惑うこともしばしば。
それでも曲の最後だけはパンっと一斉で、不思議なほど揃う!
あまりにも鮮やかな揃いっぷりで、聞くたびに毎回驚かされます。
そこで初めて、バラバラに聞こえていた楽団の息が実はピッタリ合っていたのだなと知らされるほど。




金属製のガムランの原型は、竹製であったそうで、今もバリ島の北西側にあるタバナンの山奥やヌガラには一部竹製のガムランも残っています。
竹製のガムランは金属製よりも作りが大きく、温かみのある音色が特徴です。
大きさも様々で、低音のガムランは直径20センチほどの太い竹が使われており、音板の上に渡された板に座って演奏します。
低くて太い振動は地面が揺れるようで、それでいて温かみのある音は竹ならではの響きです。

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