フランスの新学期は9月。
教育施設は一気に賑わいを取り戻します。
そんな新年度、バカンス中は小休止していた公共交通機関のストライキが再開する季節でもあるのです。
その規模は年によりますが、夏季休暇を取っていた人たちは仕事や授業再開のモードに戻りながら、市内バスや国鉄の運行状況もチェック、翌日の出勤・登校に備えることになります。

 このフランスの交通機関のダイヤが乱れるストライキにはいくつかの形態があるのですが、直前になって決行そのものや、ダイヤの詳細が分かるというケースがあります。
例えばフランス国鉄では、決行の数日前にストライキの実施決定を知らせつつ、「ストライキ当日の時刻表は前日17時より公示します」と告知されることがあるのです。
17時になったからといってすぐに目当ての交通機関のサイトにアクセス必要は必ずしもありません。
というのもアクセスが殺到するのか、どうにも目的の検索ができないことがしばしばあるからです。
慌てず騒がず。

 2022年9月、10月のブルゴーニュ地方の街ディジョンにはまた、市内バスの停留所に翌日決行されるストライキを知らせる黄色い張り紙が慣れた手つきで何度か貼られています。
ラジオやテレビの地方版を常にチェックしている人はもう少し前にある程度予想できるのですが、日常的にバスを利用せず、ニュースをチェックしない人はバス停に辿りついてから黄色い張り紙を見つけ、ふうっと軽くため息をつく、しかありません。

 ストライキの日はまた、運行している電車の遅延も付きもの。
できれば1本余裕を持って乗るのが良いのでしょうが、地方都市では電車の頻度はそれほど高くありません。
時間帯によって通常でも1時間半以上間隔があいているということも普通です。
そんな状況も手伝い、もっともな理由があれば多少の遅刻や勤務時間の変更に寛大な企業が多いのはフランス社会の特徴の1つといえるでしょう。
社員が確信を持った態度で状況を訴え、上司から例外の許可、つまり遅れて到着する権利を勝ち取っていくのもまたフランスらしい行動かもしれません。

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